日本広報学会恒例の「研究発表大会」が10月19日から2日間、愛知県の名古屋経済大学で開催されました。約100人が集まり、筆者も会員の1人として参加しました。
今回は大学広報担当者の能力開発について、学術研究の向上を目的とした研究者らの集まりである「学会」との関わりから考えます。
研究者だけの集まりではない
ところで広報担当者の能力とは何でしょうか。京都産業大学の伊吹勇亮准教授は2018年の日本広報学会第24回「研究発表大会」において、広報担当者に求められる能力を「プレスリリースの作成やメディアクリッピングなど実務担当者(テクニシャン)としての能力」と、「戦略の策定や広報効果の測定など管理職クラス(マネージャー)としての能力」の2つに分けて説明しています。
今回の対象は後者です。伊吹先生は、大学での学びと社会での労働が直結するアメリカでは、後者に関する教育を大学院が担っているものの、日本は不明な点が多く研究対象としても今後の課題としています。
学会というと、研究者以外は参加してはいけない集まりのように思ってしまいますが(筆者も当初はそうでした)、広報および大学職員業界においてはそのようなことはありません。広報業界で代表的なのが日本広報学会です。本誌でも毎号その活動が紹介されていますが、設立から20年以上の歴史があります。大学教員などの研究専門職が半数以上いることなど、一定の条件を満たしていることから日本学術会議協力学術研究団体に指定されています。
しかし、研究者ばかりかというとそうでもなく、企業や団体の広報の実務担当者やPR会社の社員、筆者のような広報の実務担当者で研究もしている人など様々です。
大学職員業界で代表的なのが大学行政管理学会です。私立大学を中心に1363人(2019年7月現在)の職員らで構成し、学会という名称はありますが、実務家中心の団体です …