報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
「Business Insider Japan」編集部DATA | |
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2017年1月に開設した「Business Insider Japan」は、米国発の経済とテクノロジーに関するオンライン情報メディア「BUSINESS INSIDER」の日本版。メインターゲットはミレニアル世代に据えている。
編集部員はターゲットと同じ20代~30代が中心。経済やテクノロジーに関するニュースを、若者にも理解しやすい言葉で発信している。
統括編集長を務めるのは、『AERA』(朝日新聞出版)初の女性編集長も務めた浜田敬子氏。編集部も女性が半数以上を占めており、女性の働き方やハラスメント問題など、女性に関わる記事も多く取り上げている。そのため、ビジネス系メディアには珍しく、読者の3割が女性だ。
徹底取材で信頼を構築
浜田氏によると、日本上陸当初は媒体としての知名度が低く、取材依頼をしても断られることが多かった。しかし、2年経った今では「Business Insiderになら話をしたい」と言われることが増えた。「各記者が元々持っていた人脈を活かしながら、企業の広報担当者や経営者との信頼関係の構築に力を注いできました」と振り返る。
信頼の源は取材力だ。たとえプレスリリースが出ている話題であっても、取材をしてニュースの本質を捉えるようにしている。時には企業に対し厳しい記事も書くが、記事を読めば取材で裏付けされた情報であることが分かるので、該当企業にも納得してもらえる場合が多い。
最近では、独自ネタを打つ機会も増えてきた。2019年10月には、元メルカリ執行役員 VP of People & Culture 兼 社長室長の唐澤俊輔氏がSHOWROOMのCOOとして電撃移籍するという話題を一足早くつかみ、公式発表と同じタイミングで、唐澤氏の独占インタビューを公開した。
武器は専門性の高い記者
記者らは、テクノロジー・ビジネス・金融・働き方などのチームに分かれ、それぞれ深い知見に基づいた記事を書いている。
例えば、2019年7月に起きたセブンペイの不正アクセス問題を伝える記事。新聞や経済誌では取材の中心は経済部の記者だったが、Business Insiderではテクノロジー担当の記者が取材を行った。テクノロジーを理解しているからこそ、どこに問題があったのか、本質を突いた記事を出すことができた …