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新規上場と広報戦略

上場に向けて何から始める? 広報・IR実践のポイント

市川祐子/斉藤久良良

IPO後は世間からの注目度が上がり、付き合うべきステークホルダーが増える。それを見据えた準備や上場当日の対応、その後の広報・IR活動について、大手IT企業でのIPO経験を持つ2人の専門家が解説する。

マーケットリバー代表取締役
市川祐子(いちかわ・ゆうこ)

楽天などで15年間、IR、上場準備、財務に従事。在籍中、Institutional Investor誌 Best IR Professionalsに5年連続ランクイン。アライドアーキテクツ(マザーズ)、Stroly(未上場)で社外取締役を務める。著書に『楽天IR戦記』(日経BP社)。

フリーランス広報、プラスカラー取締役
斉藤久良良(さいとう・くらら)

広報歴13年、IR歴5年。2006年から広報のキャリアをスタートし、2011年にコロプラへ転職、上場を機に広報・IRチームのマネージャーに就任。2017年1月に同社退職後、フリーランス広報として未経験広報人材の育成を中心に、ベンチャー企業の広報活動を支援。

【上場前】

Q1 上場前に行っておくべき広報活動は?

A

認知度向上とIRサイトの制作(市川)

企業やブランドの認知度向上のためのPRは早めに実施しましょう。ストーリーの核である企業理念・事業内容を浸透させると、IPOの際にも有利です。また、上場後は、コーポレートサイトが投資家の情報源です。マザーズ市場の年間取引額の内訳を見ると、国内個人が59%(*)で、そのほとんどがネット証券経由。そのため個人を意識したコーポレートサイトの充実が効果的な施策になります。時価総額数百億円以上を狙うなら、英語ページも作成しましょう。

2018年、東京証券取引所データ

役員のメディアトレーニングも必要(斉藤)

まず、IRページの作成や上場承認後に行うロードショー(機関投資家への会社説明)用の資料作成、上場後最初の決算説明会の準備など、いわゆるIR活動に向けた準備が必要です。それだけでなく、役職員のSNSやメディアにおける情報発信ルールの作成・啓蒙もしておくべきでしょう。また、上場後は取材時に話す内容に細心の注意を払う必要があるため(適時開示の原則、インサイダー取引の防止など)、社長や役員のメディアトレーニングも実施することをお勧めします。

Q2 投資家にはどのようなメッセージを発信する?

A

説得力のあるストーリーをつくる(市川)

右脳と左脳の両方に訴えるストーリーをつくりましょう。"Why"を核としてトップの想いを伝え、"What"で事業・プロダクトを語り、"How"で業界における強みとポジションを説明するのです。テキストだけでなく動画も効果的です。さらに、目論見書の内容に合わせて業績、KPIなどの定量情報、ガバナンス情報を充実させ、説得力を高めましょう。


市場環境を踏まえて成長戦略を語る(斉藤)

誰に対して何をどのように伝えるか(ターゲットとメッセージ)という広報における基本の考え方が重要です …

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