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新規上場と広報戦略

IPO企業の担当者が語る 上場前後の広報・ブランディング

HEROZ×アイリックコーポレーション×みらいワークス

多くのステークホルダーからの信頼を得る必要がある「上場」のフェーズ。2017年~2018年にマザーズにIPOを果たした3社の広報担当者が上場前後の広報戦略や、実務の中で直面した課題を語った。

(左から)HEROZ 経営企画部 広報 片桐百合子氏
アイリックコーポレーション 営業本部 広報宣伝部 部長 古川 満氏
みらいワークス 広報 マネージャー 石井まゆみ氏

DATA
HEROZ(ヒーローズ)
設立 2009年4月
社員数 45人
事業内容 AIを活用したBtoBサービス「HEROZ Kishin」、BtoCサービス「将棋ウォーズ」など。
上場 2018年4月(マザーズ)
専任広報担当設置 2017年9月
現在の広報体制 1人
アイリックコーポレーション
設立 1995年7月
社員数 約250人
事業内容 保険ショップ「保険クリニック」の運営、保険販売事業者へのソリューション事業、システム事業を展開。
上場 2018年9月(マザーズ)
専任広報担当設置 2012年
現在の広報体制 2人(IR、マーケティングも兼任)
みらいワークス
設立 2012年3月
社員数 91人
事業内容 プロフェッショナル人材に特化したビジネスマッチングサービスおよび転職支援。
上場 2017年12月(マザーズ)
専任広報担当設置 2017年9月
現在の広報体制 1人

メディアリストの開拓から

──皆さん上場の直前に広報担当に就かれています。上場に向けて、どのような広報活動を実施しましたか。

片桐:HEROZの主要プロダクトは、利用者が500万人を突破した頭脳ゲームアプリ「将棋ウォーズ」などのBtoCサービスと、独自AI「HEROZ Kishin」を各産業に展開するBtoBサービスです。上場前は、将棋プロ棋士の羽生善治さんが国民栄誉賞を受賞したり、藤井聡太さんが相次いで最年少記録を更新したりと、将棋がよく話題にのぼる年で、メディア露出は多かったですね。藤井さんが対局するたびに「御社の意見を聞かせてください」と問い合わせがあったほどです。

ただ、当時はエンジニア個人への取材が多かったため、会社全体の取り組みについても認知の拡大を図っていました。AIへの注目が集まり始めたころだったので、「AIに仕事が奪われるのか?」といったテーマの企画などで、ビジネスでのAI活用例として取材をしていただくこともありました。

古川:私は、アイリックコーポレーションが上場する約1年前に広報に異動となりました。営業経験しかなく広報は未経験の状態だったので、前任者が作成したメディアリストに基づいて記者の方にご挨拶メールを送るところからスタートしました。数人から返信をもらえたので、アポイントを取って会いに行き、関係構築を始めました。

とはいえ、試行錯誤の連続でした。会社からは企業やBtoC向けの「保険クリニック」やBtoB向けのフィンテックサービスの認知向上を求められていたのですが、当初はメディアとの接触が少なかったので、露出も多くありませんでした。そこで、広報関連のセミナーに参加するなどして他社の広報の方とのつながりをつくり、困ったときには頼っていました。

石井:みらいワークスも同じく、企業やサービスの認知向上が広報の目的でした。当社は、フリーランスのプロ人材を人手・人材不足の企業に紹介するサービスを提供しているので、特に「働き方改革」の文脈での露出を狙っていました。

ただ、メディアとのつながりがなかったので、記者や広報が集まる交流会を探して参加し、名刺交換するなど地道な努力をしていました。広報は横のつながりが本当に大事ですよね。今では記者の方が探しているネタを持っている他社の広報がいれば、両者をつなぐこともあります。

あとは、知り合いの伝手を辿ったり、『広報・マスコミハンドブック PR手帳』(日本パブリックリレーションズ協会)に載っている主要メディアの連絡先に電話をしてアポイントを取ったり。あの手この手で、メディアとの関係をつくりました。マスメディアに限らず、PVの高いオウンドメディアに取材依頼をすることもありました。

片桐:HEROZでは、過去に取材いただいた記者の方と個別にコミュニケーションを取ることに加え、一度に大勢の方に会社を認知してもらえるようにと工夫しました。

例えば、CEOをはじめとした経営層やビジネスサイドのメンバーにイベントや講演会に出てもらうこと。将棋AIだけでなく幅広く事業を展開していることを紹介してもらうのです。当社のCFOは外資系金融機関に在籍経験があるので、フィンテック関連のイベントにも登壇していました …

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