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記者の行動原理を読む広報術

新聞記者へのおもてなしと接待事情 過度な気遣いはリスクに

松林 薫(ジャーナリスト)

記者との付き合い方で迷うのが、距離の取り方。取材時のおもてなしから会食時の会計まで、記者の特性に合わせたスマートな対応が求められる。

決算発表・株主総会シーズンが終わり、新任の広報担当者もペースをつかんできたころではないだろうか。ルーティーンに慣れて、攻めの広報に打って出ようというとき、迷いがちなのが記者との付き合い方。通常の「取引先」や「お客さま」と違うので、距離の取り方が分からないという人も多いだろう。今回は、記者の接待について説明しよう。

個室とオープンスペースの違い

取材を受ける機会があまりない場合、どのような部屋に記者を通せばいいのか迷うかもしれない。しかし、心配は無用。記者は取材場所にはこだわらない。屋外で取材することもよくあるし、囲み取材や夜回り・朝回りでは立ち話が一般的だからだ。記者を社内に受け入れる際も場所に特別な配慮は不要で、普通の会議室や応接室で構わない。

違いがあるとすれば「オープンな場かどうか」、言い換えれば個室かどうかだけだろう。いわゆる「リーク(売り込みネタ)」など秘密保持が必要な場合や、記者から本音を聞き出したい場合は個室を用意すべきだ。その場でインタビュー写真を撮ってもらう場合も、映り込む背景に気をつける必要がある。

一方、記者を他の社員にも話し声が聞こえる場所に案内すれば、「機微に触れる話はしない」というメッセージだと解釈される可能性が高い。場合によっては「自分は警戒されているな」と身構えさせることになる。

裏返せば、型通りの「公式見解」について説明するだけなら、打ち合わせ用のブースや共用のテーブルなどで取材に応じても問題はない。実際、役所の取材ではそうしたケースが多い。記者がフロアの一角にある課長席の前に置かれたパイプ椅子に座って話を聞いている風景はよく目にする。

取材の"見返り"は原則タブー

では、取材の際に飲み物の提供など記者に対する「おもてなし」はどれくらい必要だろうか。結論から言えば気を遣う必要はない。むしろ、過度な気遣いは警戒されるリスクさえある。

そもそも一般紙やテレビの記者は、たとえ民間企業の社員であっても「公共的な仕事をしている」という意識を持っている。だから取材の見返りの利益供与は基本的にタブーだ。法的には問題ないとしても、倫理的には公務員が賄賂を受け取るのと同じ問題が発生するのである …

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