年に数百本、企業の社内向け動画制作を手がけているタノシナル。代表の福島ツトム氏が、テレビ番組の制作に20年携わってきた経験から、従業員向け動画の成功・失敗の分岐点について事例をもとに語った。
イベント企画やブランドPRを手がけるタノシナルでは近年、"社内共有するための動画"の制作依頼が急増、主力事業となっている。そこで本講演では実例を交えながら制作する際のポイントを解説した。
まずは社内動画の用途の広がりについて解説した(図1)。例えば、ある企業でIT関連部署を新設した際、社内で事業内容を把握できていない状態が発生した場合に動画で説明するケースなどがある。全国各地で働く社員の一体感を高めるため、全社員参加型の動画制作プロジェクトを企画することも。これまで文章で作成していたマニュアルや営業ツールの動画化も、急激に進んでいるという。
講演は同社が6年以上継続して企画制作している、ストライプインターナショナルの動画社内報「ストライプTV」を観ながら進行。制作本数は通算330本を超え、その舞台裏とともに「動画制作の成功と失敗の分かれ道」について代表の福島ツトム氏が話した。
動画の強みをフル活用するには
ストライプインターナショナルの「新しい労務制度が浸透していない」という課題に対し、タノシナルが提案したのは「制度なら任せろ!ロックンローム」と題したアニメ。なじみの薄い社内制度をロックンローラーのキャラクターが楽しく伝えることで、多くの社員が制度を活用し始めた。「社内制度だから、難しい内容だから真面目に制作するという考えでは伝わりづらく、失敗する可能性が高いです。観る人との接点を探り、親しみを感じてもらえるアプローチ(企画)を考えることが成功のカギになります」と福島氏。
また"売上が高い店長"の指導法を取り上げたケースについても言及。「現場で実際の指導方法を撮影してリアルを動画で見せることで成功する(伝わる)。店長自身をインタビューするなど指導方法を言葉で説明してもらうだけでは、動画のパワーを最大限に活用できていません」と説明した。
視聴率100%、次は一般公開へ
終盤にはストライプインターナショナルの石川康晴社長が本講演向けに撮影された映像で登場。「ストライプTVは従業員が一体になれる、欠かせないツール。これから企業はすべてを開示していく時代。今後は社外にも公開し、ファンを増やしたい」と話し、期待を寄せている。同社パブリックリレーションズ本部長の石渡佑矢氏も「視聴率は、ほぼ100%。経営戦略をスピーディーに伝達でき、スキルの伝承にも役立つ。スマホでどこでも観られるという点も大きい」と語った。
福島氏は「5Gの時代になればコミュニケーションツールとしての動画はより広がっていく。制作会社を選ぶ際、大事なのは動画の加工の上手さよりも、いかに企業課題に対して一緒に向き合い考えてくれる会社かどうかだと思います」とアドバイスし、締めくくった。

タノシナル
代表
福島ツトム氏

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