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インターナルコミュニケーション改革

社員の評価はどうなった?社内報リニューアル後の変化

ヤマハ発動機 企画財務本部経営企画部 山下和行

4年にわたり、ヤマハ発動機で社内広報の改革に携わった筆者。その足取りを総括しながら、現場担当者に役立つヒントをお届けします。

    前回までのあらすじ

    上司から突然社内報のリニューアルを任された筆者。はじめの1年間はマイナーチェンジの時期と決めて自ら編集の基礎を学び、2016年から本格的な変革を実行していきます。グレードを担保するためにアウトソーシングも積極的に活用し、そのための予算も確保。リニューアル後は『Revs』と誌名を改め、「経営層と社員をつなぐ」社内報をつくりあげていきます。

社内の口コミで取材先の幅も広がった
現場へ赴き、直接聞いたお客さまの声を社員へ届ける「お客さまとヤマハ」。この号では、米どころ山形で水田の防除作業に使われている無人ヘリコプターとお客さまを取材した。リニューアル後は、社員から「こんな方がいますよ」とお客さまを紹介されることが増えた(2017年2月号)。

『Revs(レヴズ)』

商業誌の場合、読者の評価は販売部数のよしあしでダイレクトにつかめます。しかし、社内報はそうはいきません。社内報が読者(社員)の心に刺さり、エンゲージメントやモチベーションを上げているかどうかを、月々の発行に合わせて正確に測定するのは難しく、社内報そのものの効果が見えにくいのが実情です。

ヤマハ発動機では2016年のリニューアルを機に、全社員を対象にしたアンケート調査を毎年9月に行って活動の成果を把握しています。また、社員からのフィードバックを次のアクションの指針としています。今回は、その調査結果から鍵となる数値を軸に話を進めていきます。

1. 閲読率と充実度の変化

前回までリニューアルの目的や事前の準備についてお話ししてきました。社内報の制作を担当されている方々は、「リニューアルして実際にどうなったのか」という変化について一番関心があると思います。当社ではその変化をアンケートで調べています。

アンケート調査は本社籍の社員1万人を対象にしたもので、リニューアルした2016年に調査方法を改めました。2015年も閲読に関する調査を行いましたが、対象は限定されていて、特に製造系職場からの回収数が少なく、偏りがありました。そこで、母集団の属性を反映してバランスよく回収するため、回答方法も刷新しました。回答方法は2種類用意し、オフィスワーカーでIPアドレスを持っている社員にはウェブから回答してもらい、IPアドレスを持っていない製造現場の社員には紙の質問票を送り回答してもらいました。

その結果、回収率は2015年の31%から2017年には40%を超えるようになりました。質問内容も「若手はあまり読んでいない」という仮説を検証するため、回答者の属性を細かく記入するようにした結果、世代や職類を使ったクロス分析もできるようになりました。また前提として、リニューアルを企画している際に、やるなら高い目標を掲げようと、閲読率の目標を2018年に90%以上と設定しました。

表1は2016年から2018年まで3年間の、社員全体と各世代別の閲読率の推移です。社員全体の閲読率は約85%まで上がりました。コンマ以下の変動はありますが、この3年で概ね安定しています。また、「いつどこで読むか」を尋ねた質問の回答からは、大多数の社員が職場で気になった記事を10分から30分程度かけて読んでいることが分かりました。中には家に持ち帰って隅から隅まで読む社員もいます。ちなみに、2015年の調査では、全体の閲読率は72.2%でした。

表1 閲読率 読んでいる社員の割合(%)
注:「全体」には60歳以上の再雇用社員の回答も含む

次に、リニューアルのメインターゲットである20代社員の閲読率を見てみましょう。2016年73.2%、2017年74.1%、2018年75.4%と、わずかずつですが毎年上がっています。この結果を見て我々は素直に喜びました。なぜなら、2015年の調査結果では、20代社員の閲読率は57.8%と、他の世代と比較して一番低かったからです。

アンケート調査は、2016年に方法と質問項目を変えているので、前年の調査結果と完全に対比させることはできません。しかし、回収率は大きく上がり、閲読率は目標値に達しませんでしたが高い値を示し、今回のリニューアルを境に社員の接触度のステージがひとつ上がった気がしました。

今度は表2の「充実度」を見てみましょう。この充実度評価は、社内報が社員の期待や要望に対してどの程度応えているかということを表しています。リニューアル企画時に、目標値を95%に設定しました。社員全体では2016年の90.9%から2018年で94.5%となり、3年間を通じて上昇しました。ちなみに、2015年の調査では89.5%でした。メインターゲットの20代社員では2018年で96.6%と、他の世代と比較して最も高い値になっています。また、この3年間すべての世代で数値が上がっていることも嬉しい結果です。

表2 充実度 充実していると回答した社員の割合(%)
注:「全体」には60歳以上の再雇用社員の回答も含む

これらの結果から、社内報のリニューアルが狙い通り20代社員に受け入れられたことが分かり安心しました。そして、「若手社員の閲読率を上げる」というリニューアルの主目的が達成されつつあることを数値で裏づけました。

ただし、世代別に見ると、20代社員の閲読率が一番低いことには変わりないので、2021年までには30代社員と同じくらいの80%まで引き上げたいです。また、若手を意識してリニューアルしたことで、40代と50代社員の閲読率が少しずつ下がっていることが気になりますが、一方でこの世代でも充実度は高まっているので、当面は若手社員をメインターゲットにしたつくりを継続していきます。

2. どんな記事が支持されているか

では、社員はどんな記事を読んでいるのでしょうか...

あと63%

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