
アサーティブ面談の様子。研修を受けた大学職員が個別に高校生と面談。
その後、進学を希望する生徒はアサーティブ入試に進める。
突然ですが、大学にとって企業の商品にあたるコンテンツは何でしょうか。「大学なのだから、研究成果や教育内容では?」と多くの方が思うでしょう。しかしそれらが社会的に注目され広報コンテンツとなるには、独自性はもとより今後のトレンドを先取りするような社会的影響の大きさが求められます。
アサーティブプログラムを導入
今回は本連載2回目で紹介した「最初から広報を意識した企画」ではなく、中堅私立大ならではの強みを活かした取り組みが、結果的に強力な広報コンテンツとなり組織に好循環をもたらした追手門学院大学のアサーティブプログラムとアサーティブ入試(以下、アサーティブの取り組み)を例に考えたいと思います。
アサーティブの取り組みの「アサーティブ」とは、英語のAssertiveに由来し、本学では「相手の意見に耳を傾けながら、自分の意見や考えを主張することができる態度。すなわち自分を知り、表現することが大切になると解釈」と定義しています。この考えをベースに高校生の大学で学ぶ目的や意欲などを、職員が面談を行って育成するのがアサーティブプログラムで、グループディスカッションや個別面接、それに基礎学力テストを通してプログラム受講の成果を評価するのがアサーティブ入試です。
アサーティブの取り組みは2014年度にスタートしました。その背景は、追手門学院大学のような中堅私立大学が抱える構造的な問題を解決することにあります。関西私大の序列を示すいわゆる「関関同立*1」「産近甲龍*2」に入学できず不本意ながら入学した学生は、入学後の目的意識や学ぶ意欲が低いまま、その後の成長が阻害され、就職活動にも影響が出ます …