報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
『工場管理』編集部DATA | |
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『日刊工業新聞』で知られる日刊工業新聞社では、関連領域で複数の専門誌を発行している。そのひとつが『工場管理』だ。同誌は製造業における生産現場の改善手法や人づくりの情報を経営者や工場長、現場の管理者に届けている。
各社の改善活動の奮闘を伝える連載ページが「闘う!カイゼン戦士」。2019年5月号では「天使のはね」ブランドで知られるランドセル製造のセイバンを取り上げた。現在、大手企業も市場に参入し、少子化で多品種少量生産が求められる業界。トップシェアの同社も作りすぎのムダをなくすため、役割のあいまいな作業台や仕掛け品を置くスペースをなくし生産ラインの短縮を実現。結果、発注から納品まで100日かかっていたのを5日に短縮したケースもあると伝える。
本連載は親交のあるコンサルタントの紹介や日刊工業新聞の本紙記事などをもとに取材することが多いが、「改善による成果が客観的に分かるデータや、社員が頑張るエピソードがあれば企業サイドからの情報提供も歓迎します」と編集長の永井裕子氏は語る。
毎号の特集は、製造業のトレンドや人材関連のテーマが多い。2019年5月号の特集「今こそ始めよう!健康経営」では、高齢者や障害者雇用を進めるコーケン工業(静岡・磐田)をピックアップ。社員の29%が60歳以上で、梱包を担当する90歳の男性、ろう付け作業を行う77歳の女性も活躍すると伝える。直近では2019年12月に日刊工業新聞社が主催する「国際ロボット展」が開催されるため、ロボット関連の話題にも注目しているそうだ。
毎号、各社の工場長や生産部門を統括する人物にインタビューするのが「拝聴!ニッポンの工場長」。2019年6月号では、NECプラットフォームズの工場を統括する女性役員が登場した。女性エンジニアは1人きりだった時代を経て部長職に就いたエピソードも。それまで1人で何でもできると思っていたが、ある工場で教えられた生産ラインの作業を自身はまったくできなかった経験から「全員で当社のモノづくりを支えているのです」と語る。
このコーナーは主に企業の広報部門に依頼をするものの、工場長という忙しい立場のためか取材に至らず、苦戦することもあるという。今までは比較的大手の企業を中心に依頼していたが、「今後は、業務と人を束ねるリーダーの話がうかがえるなら規模にこだわらず取材を検討したいです」と永井氏は語る。
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編集体制 | |
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編集部員は3人。取材は主に生産現場での5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)や改善活動の取り組みを扱う。 |