誰もが気軽に情報発信が行えるようになった今、SNSやネット上では企業、自治体、個人が発信した情報が炎上しているのを度々目にする。その度に議論されるのが「メディア・リテラシー」の重要性だ。
本書では個人や企業の炎上対策のほか、レポートやメールの書き方などの表現技法が網羅されている。「誰もが情報を発信し、炎上リスクを抱える現代では、正しい形式と適切な内容で情報を伝えるためのリテラシーを身につけることが重要」と筆者は指摘する。
制約が最適な文章表現を生む
筆者である酒井信氏の専門はメディア論で、文芸誌や論壇誌、新聞で多くの原稿を執筆している。現在、文教大学情報学部で教鞭をとっており、本書は学生向けの教材として好評を得ていたものを一般向けに再構成した。
全15回に分かれており、各回のテーマは「メールの文章表現と基本的な敬語の使い方」「起承転結の文章の構成と原稿用紙の使い方」「データの収集・参照の仕方と論拠を明示した論文の書き方」「批評的な思考≒メディア・リテラシーと批評文の書き方」など、基本から応用まで様々だ。『三島由紀夫レター教室』(三島由紀夫・ちくま文庫)、『私家版 日本語文法』(井上ひさし・新潮文庫)など、著名人の名著から文章表現や技術を学ぶ回もある …
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