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インターナルコミュニケーション改革

もしも「明日から社内報を担当せよ」と言われたら?

ヤマハ発動機 企画財務本部経営企画部 山下和行

4年にわたり、ヤマハ発動機で社内広報の改革に携わった筆者。その足取りを総括しながら、現場担当者に役立つヒントをお届けします。

After

『Revs(レヴズ)』
サイズ:B5・右開き(写真は2019年4月号)

Before

『社報ヤマハ』
サイズ:A4・左開き(写真は2012年1月号)

DATA
創刊 1964年11月(2016年にリニューアル)
発行日 毎月25日
ページ数 24~32ページ
発行部数 1万8000部
(配布先内訳)
本社:1万1000部
グループ会社:4000部
OBその他:3000部

はじめに

皆さん、こんにちは。ヤマハ発動機の山下和行です。2015年から2019年3月までの4年間、「社内報」のリニューアルを皮切りに、「WEBグループ報」「動画サイト」、そして「デジタルサイネージ」などの企画・運営を通して、社内広報全体の改革に携わりました。

この仕事を担当し始めたころ、所属する広報宣伝部では、企業広報の業務の一部として社内報制作を行っていて、活動予算も限定的で、あまり目立たない仕事でした。また、僕自身も社内広報について知見はなく、社内報制作も手がけた経験はありませんでした。

昨今、社内活性化の要として、一体感や風通しの良さなどを生むインターナルコミュニケーションという考え方が注目を集め、コミュニケーションツールとしての社内報があらためて注目されています。

しかし、当初の僕と同様、門外漢にもかかわらず、社内報担当を命じられた方の多くは、「社長のメッセージを効果的に浸透させたい」「全社員の方向感を合わせたい」「社内でもっと情報共有を進めたい」といった課題を抱えて、どうすればよいか戸惑い、かつ悩みながら奮闘していらっしゃるのではないでしょうか。

この度、原稿を書いてみようと思ったのは、そうしたお悩み解決に、僕自身が何度も壁にぶつかりながら試行錯誤して進んできた経験が、お役に立つのではないかと考えたからです。

この連載では、社内報のリニューアルを切り口に、社員向けのコミュニケーション全体をどのように変えていったらよいかについてお話しします。例えば、社内報では「どうすれば社員がもっと読んでくれるか?」がつくり手として一番苦心することではないでしょうか。社内報はそもそも売るものではないですし、期待されている役割も会社ごとに異なるため、どの会社でも通用するベストな企画や編集方法はありません。しかし、今よりもっと社員の興味をひき、関心を高める方法はあります。

この連載を通して、皆さんがそのアイデアを具体的にイメージできるようになり、社内報のリニューアルや社内コミュニケーションの改善に成果を出すきっかけになれば幸いです。

1. やりたくない仕事だった

「社内報を担当してほしい」。ある日突然、上司からこう命じられたら、どんな気持ちになるでしょうか。僕の場合はその瞬間「会社人生は終わった」と思いました。

なぜかといえば、当時の僕が社内報に対して抱いていたイメージは最悪だったからです。そもそも僕自身が社内報をしっかり読んだことがなく、社内報制作といえば、経営方針などをトップダウンで伝えるためのもので、「内向きの」「労多くして実りの少ない」「地味な」仕事という認識でした。そのイメージの背景にあったのは、入社10年目のころ、広報宣伝部で勤務していた時に、傍から社内報制作の仕事を見ていた経験でした。

当時の担当者は、記事作成にあたり社内の情報をコツコツ集め、関係者に話を聞いて回り、自分で原稿を書き、上司をはじめ最後は経営層にまでチェックをお願いして、関係者全員に納得してもらい、紆余曲折の末にようやく発行がかなうといったものでした。

僕自身は、外に出てお客さまや外部の様々な人と接点を持ち、常に動き回りながら進める仕事が好きでしたので、社内報の仕事は真逆だと思っていました。また、当社の社内報は1964年の創刊から月刊で、それを途切れさせず毎月続けていくわけですから、原稿作成だけでなく社内調整に疲弊しそうで、正直なところ広報宣伝部の中で最もやりたくない仕事でした。

ですから、2014年11月のとある日、上司に呼ばれて「社内報を担当してほしい」と言われた瞬間、即座に僕は「嫌です」と返事していました。しかし、「そうか、分かった」と許してもらえるほど会社は甘くはありません。そこで続けて、「なぜ僕なんですか?」と尋ねました。すると上司は「今の社内広報のやり方、特に社内報を変えたい。是非やってほしい」と真剣な表情で答えてくれました。

「変えたい」という言葉を聞いたその瞬間、僕のモチベーションに火がつきました。こうして、2015年1月から社内報制作を軸にした社内広報の仕事を始めました …

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