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大学広報ゼミナール

大学の組織内広報も「トップ自らの発信」がカギ

谷ノ内 識(追手門学院大学 総務部広報課 課長)

2019年3月の全学教授会。追手門学院では毎月1回程度(2019年度からは年3回)実施し、学長と全教員によるコミュニケーションの場を設けている。

今回は視点を組織内へと移し、「自大学が社会に対してどのような役割を果たしていくのか」という使命(ミッション)や「ミッションを果たすためにどのような大学を目指すのか」という将来像(ビジョン)といった大学経営に必要な理念について考えたいと思います。中でも「大学経営に関わる教職員にいかにして理念を浸透させていくのか」「広報部門がどう関わるのか」は重要な課題です。私は、広報部門は経営機能のひとつだと考えていますが、今回のテーマはまさに経営と広報が密接に関係するところです。

理念は「存在意義」そのもの

理念の浸透は本誌2018年8月号の特集テーマ「社内広報の役割」の中で取り上げられ、社会情報大学院大学の柴山慎一先生が「SUPPモデル」を提示して社内の理念浸透のステップを説明しています。

2019年3月号の特集では「新時代の企業ブランディング」と題して、従業員を巻き込んだ理念の社内浸透の事例が紹介されました。私の所属する日本広報学会でも「経営コミュニケーション研究会」という研究部会があり、事例調査を通じて重点的に研究がされています。企業において理念の浸透と組織内広報の役割は重要な経営課題と認識されています。

ひるがえって大学業界はどうでしょうか。国公立大学は元来、国や地方公共団体が設置するものですが、2004年に国立大学が独立行政法人化されたのを機に、ビジョンともいえる中期目標とその達成に向けた中期計画の策定が一般化されました。

2012年度から2013年度にかけて「ミッションの再定義」という各国立大学の社会的役割の整理も行われました。私立大学はそもそも創立者が「社会的役割を果たす大学をつくりたい」という思いを具現化したものです。その思いは「建学の精神」というミッションとして各私立大学の学風の核となっています。大学は企業以上に「理念」が重要であり、私立大学にとっては存在意義そのものです。ではどの程度、従業員でもある教職員に対して理念を浸透させているのでしょうか。

個人研究の一環として、公益財団法人文教協会の平成28年度調査研究助成を受けて、2016年6月から7月にかけて、全国の国公私立743大学の広報部門の責任者に広報活動などに関するアンケート調査を行いました。245大学から回答(回答率33%)を得ることができ、この中に理念の浸透に関する設問を設けました。245大学の内訳は、33国立大学、41公立大学、171私立大学です。

設問に対して「あてはまる」が4で、「あてはまらない」が1とし4段階で回答してもらいました。なお、本調査でいう理念は大学全体のミッション(私立大学でいうと建学の精神)とビジョン両方で、中期計画や単年度の事業計画は含みません …

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