複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
問題の経緯
2019年2月7日
レオパレス21は2月7日、建築基準法違反の疑いがある施工不良物件数について33都府県で1324棟新たに確認したと発表した。これに伴い、約1万4000人の入居者に住み替えの案内を開始した。本件について最初に公表したのは2018年4月で、その後の全棟調査などの経過も報告していたが、新事実のインパクトは大きく批判的な報道を免れなかった。
レオパレス21が施工した全国各地のアパートに建築基準法違反の疑いがあることが発覚し、社会的な問題になっています。きっかけは2018年3月29日と4月17日、2人のオーナーからの「建築確認通知図書に記載されている住戸間の界壁が施工されていない」との指摘でした。この指摘後にレオパレス21が社内調査を行った結果、建築基準法違反の疑いがあるアパートが全国各地に所在することが発覚したのです。今回はレオパレス21の一連の対応を題材に、広報対応の是非を検討します。
早かった初動の対応と適切な経過報告
レオパレス21が今回の問題について最初に公表したのは、2018年4月27日。2人のオーナーから指摘を受けた10日後にはリリースを発表していました。
その際、公表に至った経緯について「社内確認をしたところ、一部現場のみではなく、広く確認通知図書(建築確認を受けた図面)に界壁の記載がなされていたことが判明し、施工者としての責任に鑑み、界壁設置工事を行うこととしたため、公表する次第です」と説明し、「施工者としての責任に鑑み」と自社の責任を重く受けとめている姿勢を示しました。このほか、リリース内では建物の安全性、今後の対応として全棟物件の調査を行うことについても言及しています。初動を見る限り、広報対応は非常に早く、その内容も適切だったように思います …