社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
帝人は2018年12月、東京・渋谷で顧客・取引先など2100人が来場したイベント「THINK HUMAN EXHIBITION」を3日間にわたり開催した。会場では、テクノロジーが発達した未来の社会で人間が抱えることになる課題について、「人間らしさ」「超高齢社会」「食」など9つのテーマを設定。20代から50代の社員30人が約1年かけて分析・検証した「THINK HUMAN PROJECT」の成果を展示した。
創立100周年事業のメインイベントであり、「事業の延長で考えず、100年先の未来を見せてほしい」という鈴木純代表取締役社長の思いが起点となっている。
「200年動き続ける心臓」とは
イベント会場では、未来の課題を視覚、触覚、聴覚などに訴える展示で表現しプロジェクトに携わった社員も常駐した。例えば「人間らしさ」の展示では、テクノロジーの進化によって200年動き続ける心臓を持つ体を模型で再現し、「人はいつ、どのように死を選択するのか?」といった問いに関する会話が交わされたことも。「未来に向きあい、自社の役割を考察する帝人の姿勢や考え方に関心を寄せていただき、イベントの開催意義が伝わったのでは」と総務部の田中宏明部長は説明する。
メンバーは通常の業務と並行して活動を進め、有識者たちの協力のもと議論を深めてきた。その様子について総務部の大竹良典氏は「複数の事業部メンバーで各チームを構成していたため、議論も多面的に広がりました。事業の枠を取り払って考えたことで、社員にとっても気づきのある活動となりました」と総括する …