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災害リスク 広報が備えておくべきこと

進化する防災と情報共有 自治体・企業のデータ資産活用へ

取出新吾(防災科学技術研究所)

企業や自治体は防災力・災害対応力向上のため、地域社会にいかに貢献できるのか。2018年9月に防災・減災を目指しLINEと連携協力に関する協定を結んだ、防災科学技術研究所(茨城・つくば)の災害対応活動の取り組みなどから考える。

2018年に発生した北海道胆振東部地震のクライシスレスポンスサイトから。震源分布、推定震度分布などを「見える化」している。
出所/防災科研クライシスレスポンスサイト

本稿では茨城県つくば市にある国立研究開発法人「防災科学技術研究所」(以下、防災科研)が実施している災害対応活動を紹介することで、日本の防災力向上、災害対応力向上のために自治体や企業が日ごろから実施しておくべき情報流通や貢献できることについて解説します。

最初に避難所へ支援物資を届けることを例にして説明します。避難所に物資を届けるために最低限必要な情報は、避難所の場所、道路の通行状況で、これらを地図上にプロットすることで配送計画が立てられます。

一方、避難所は市町村の管轄で、どこが避難所になっているのかは市町村が把握しており、そこに物資を届けるためには通行状況情報が必要ですが、道路の管轄は「市町村」「都道府県」「国」と3つに分かれており、それぞれが別々に情報を管理しています。よって、これらの情報を重ね合わせなければなりません。

位置情報を共有する重要性

紙の地図の上にピンを立てて状況を把握することもできますが、会議室の外に情報を出すことができません。そこでデジタルの地図を活用することで、外部と情報の共有ができ、外部からの支援が円滑に受けられるようになります。デジタルの地図を使えば拡大・縮小も容易ですし、様々な情報をレイヤーとして重ね合わせることもできるため全容の把握や意思決定の迅速化に役立ちます。

大規模な災害が発生した時にこれらの情報を集約しているのが、「防災科研クライシスレスポンスサイト」です。センシティブな情報を除きインターネット上に一般公開しており、最近では2019年1月3日の熊本地方を震源とする地震のほか、2018年の北海道胆振東部地震、各地の台風や豪雨などの被害推定状況や、危険度などの状況もまとまっています。

しかし、実際の災害対応の現場では、情報は紙で渡されることが多く、デジタル情報に変換するために人手が必要となります。また、地図の上に情報を載せていくためには位置情報(緯度・経度)が必須なのですが、住所すら書かれていない情報もあります。各市町村の職員の皆さんからすれば「東公民館といったらあそこに決まっているじゃないか」といった感覚があり、住所などを省いてしまいがちです。これでは市外、県外からの支援者が物資を届けようとしても、正確な場所を把握することができません。

これは災害時だけの話ではなく、日ごろの情報公開の場面でも同様です。例えばイベントやセミナーのお知らせのチラシなどには施設名しか書かれていないことが多く、住所・電話番号・地図が記載されていません。市民ですら、市内のすべての公民館の名前と場所は把握していないでしょうから、名称だけみてもどこか分からないこともありますし、転居して日の浅い住民の方はもちろんご存じないでしょう。

自分たちにとっては当たり前のことでも、相手が知らない前提で情報を届ける必要があるのです。例えば地方では車での移動も多いですが、カーナビで行き先をセットする際にも施設名だけでなく電話番号があると、スムーズに目的地までの案内を表示させることができます。

単に情報をお届けしようと思うのではなく、情報を届けた結果、より相手に行動してもらいやすくなる形で情報を発信しなければなりません …

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