オンラインの情報流通構造が複雑化し、広報の手法も変化しています。全12回シリーズで、デジタルPRの基本と戦略に活かすヒントを専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)2018年は災害関連のリリースが増加
(2)キラーワードは「速報」「リアルタイム」
(3)社会課題解決に関する話題は引き続き注目
2018年にPR TIMESでは12万3000本超(前年比130%)のリリースが配信されました。今回は、2018年の年間配信データをもとに反響を集めるリリースのポイントについておさらいしていきたいと思います。
まず「PR TIMES」サイト内で検索されたキーワードの上位を見ると、「イベント」など定番ワードのほか「仮想通貨」「ブロックチェーン」「VR」など注目の話題が目立ちます。「災」が「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会が発表)となった2018年ならではの動きとしては、災害に関するリリース本数が多かったこと。特に豪雨や地震が続いた7月から10月に増えており、前年比187.7%にものぼります。
パーソナライズできる話題も人気
続いてリリース別のPVランキング上位の記事から、傾向を見ていきたいと思います。PV上位のリリースタイトルに頻出のキーワードを見ると「速報」「リアルタイム」など、世の中の関心事をスピーディーに発表している例が目立ちます。年末年始の「占い」など、関心が高まる時期に合わせて読み手が何百通りにもパーソナライズできる話題も定番で人気が高いです。
一方で社会的な話題が注目されたリリースというのも一定数存在します。その事業によって、どんな社会課題を解決できるかがストーリーを交えて記述されていると共感を呼びやすくなります。今回はPR TIMESが提唱するPRバリュー開発プログラム「DEVELLOP®」(第5回で詳述)を用いて、優れた事例をご紹介します。
社会課題の提示が共感を呼ぶ
1点目は、Little Japan(東京・台東)が提供する、定額で全国のホステルが泊まり放題になる新サービス「ホステルパス」に関するリリースです(2018年10月22日配信)。アクセスの6割がFacebookとTwitterで、SNSを経由して広まりました …