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米国PRのパラダイムシフト

PRキャンペーンのマンネリを打破しよう 2018年の海外ベストプラクティス集

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

気がつけば、芸能人を招いての商品発表会ばかり?皆さんが手がけるPRキャンペーンはマンネリになっていないだろうか。今回は、グローバルPRトレンドをウォッチしている中で、目を引いた2018年の5つの事例を取り上げて、勝手に表彰してみたい。

❶よくだましたで賞

Payless Shoes(11月)

ひとつ目はPayless Shoesという激安靴チェーンが仕掛けた「いたずらキャンペーン」だ。Paylessは名前の通り、お手ごろ価格の靴ばかりを売る靴小売店。一足あたり、安いものは一足20ドル程度で、ブランドイメージも安かろう、悪かろう。「安いだけに、ファッション性は今一歩」という固定概念を払拭したい、と考え出されたのが、偽ブランドショップの開店というアイデアだった。

その名も「Palessi」。いかにもイタリアの高級ブランドのような名前を冠し、「ハイエンド靴店」という触れ込みでロサンゼルスの一等地にブティックをオープンさせたが、その商品は実はPaylessのものという仕掛け。そこにファッションのインフルエンサーを大勢招き、その人たちが「素晴らしいわ」「とってもおしゃれ」とコメントし、実際に数百ドルを払って購入するシーンを動画に収めた後に、ネタ晴らしをするというものだ。

目の肥えたファッショニスタが、合成皮革の靴を高級靴に間違えるとは到底思えないのだが、この奇抜な試みは、多くのメディアに取り上げられ、話題となった。日本では、こうした「だまし系」のキャンペーンには賛否両論沸きそうだが、意外性と驚きは恰好のPR商材になるということだろう。

高級靴店は偽ブランドショップだった!?
イタリアの高級ブランドのような名前を冠し、ロサンゼルスの一等地にオープンした「Palessi」。実はプチプラの靴小売店「Payless Shoes」が仕掛けた偽ブランドショップで、店内にはPaylessで扱う靴が並んでいる。「安かろう、悪かろう」のイメージを覆すための試みがユニーク。


❷"逆転"の発想が見事で賞

マクドナルド(3月)

PRはタイミングが命。時節やトレンドに合わせた発信が成功のカギとなる。アメリカでは、クリスマス、サンクスギビング、バレンタインなどの行事といった季節に合わせた話題づくりが盛んだが、ここにCSRの視点を組み合わせたユニークな事例だ。

3月8日の「International Woman’s Day」(国際女性デー)に合わせて、店先にある大きなマクドナルドのロゴ看板の塔の「M」のマークをひっくり返し、Womanの「W」へと変えてしまったというもの …

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