社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
日本初の火災報知機メーカーであるホーチキは2018年4月、創立100周年を迎えた。総務部を所管に創立100周年記念事業委員会を設置し、営業本部や技術生産本部、海外本部など社内の5部門と組合から若手社員12人をメンバーとして選出。事務局を含む14人のチームが編成された。事務局長の吉岡正文氏は「会社を次の100年に向けたステージに押し上げるチャンスと考え、すべてのステークホルダーに向けた周年事業に取り組んだ」と話す。
広報宣伝室にサイト運用を一元化
周年事業は3つのテーマに沿って展開した。そのひとつである「ブランド力の向上」を目的に、全社で取り組んだのがコーポレートサイトのリニューアルだ。同社のホームページには製品の説明図なども掲示され、設備工事を担う社員や外部業者からのアクセスも多い。そのため情報を持つ部署がそれぞれ独自に更新しており、統一感やアクセシビリティ、メンテナンスなどに課題があった。
そこでリニューアルを機に、ブランドコントロールを担う広報宣伝室に運用を一元化することを決定。またコンテンツやサイト内の構成をすべて新たに構築するため、リニューアルを担当するプロジェクトチームを立ち上げた。創立100周年記念事業委員会のメンバーにシステム関連部署の社員などを加えた15人が参加し、リニューアルに取りかかった。
ブランド力の強化を図るために新設したページもある。「会社を知ってもらうためのコンテンツ『ホーチキとは』の制作では、複数の部署の社員とのやり取りやプロジェクトメンバー同士のコミュニケーションなども活発でした。多くの部署が協力しつくり上げたことでインターナルコミュニケーションの活性化につながりました」とプロジェクトメンバーで広報宣伝室の野本后里氏は説明する。
このほか、海外拠点を紹介するグローバルサイトも一新した。これまではグループ会社の独立性を尊重していたが、ホーチキグループであることを重視した見せ方に転換、グループブランド力の強化を目指す。「グループ会社にも意図が伝わったようで、これまで以上に情報のやり取りが増えました」と野本氏。サイトのリニューアルは、グループ内の連携強化にもつながった…