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新時代の企業ブランディング

3ブランドに理念を浸透 オイシックス・ラ・大地の社内コミュニケーション

オイシックス・ラ・大地

経営統合によって2度社名変更をした「オイシックス・ラ・大地」。企業風土の異なる3社をまとめたのが、新しく制定した企業理念だ。各社で意見を出し合った理念づくりの裏側と、社内浸透の取り組みを探った。

2018年6月27日の定時株主総会で、らでぃっしゅぼーやとの経営統合を正式決定した。新社名のパネルを持つのは藤田和芳会長高島宏平社長

    新社名に込めたブランドストーリー

    経営統合はしたものの、すべてのブランドを存続するという意味を込めて、3つのブランド名の一部を入れた。「ラ」は、らでぃっしゅぼーや社内でかつて浸透していた自社の略語。

約1年の間に、異例となる2度の社名変更を行った「オイシックス・ラ・大地」(東京・品川)。2017年10月にオイシックスと大地を守る会が経営統合し「オイシックスドット大地」に、2018年7月にはらでぃっしゅぼーやとの経営統合に先駆けて、現在の社名に変更した。2018年10月時点で、社員数は677人にまで拡大している。

一般消費者向けに有機野菜などを販売する事業で、長く競合としてしのぎを削ってきた3社。創業年を見ても「大地を守る会」は1975年、「らでぃっしゅぼーや」は1988年と歴史が古く、それぞれブランドが確立され、企業風土も醸成されている状態だった。

そんな3社をいかにまとめるか─。そのカギを握ったのが、高島宏平社長の発案でできた「絶対すぐやる委員会」。2017年の1度目の統合の際に結成された部門横断組織で、若手社員を中心とした志願者が集まり、統合に関する諸問題を解決する役割を担ってきた。

共通の旗印ができるまで

経営統合に際して最重要となったのが、「何を共通の旗印にするのか」という問題だ。

高島社長は、「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3つのブランドは、それぞれ顧客との信頼関係ができていたため、そのまま残すことに決めていた。3ブランドとも「安全・安心な食材の宅配」という点では同じだが、「Oisix」では30~40代の方が時短調理を、「らでぃっしゅぼーや」では40~50代の食を通した自己実現を、「大地を守る会」では50代以上のシニア層が健康不安の解消を、というようにそれぞれ異なる価値を打ち出している。

そこで、3つのブランドが相互に力を発揮できるよう、新しい社名にすべてのブランド名の一部を入れるなど、3社を対等に扱うよう徹底した。経営統合の発表の際に「買収」や「子会社化」という表現を使用しなかった理由もそこにある …

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