社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。

OBを含む1400人が参加した式典。

「OBあっての100周年、OBも楽しめる式典を目指した」と樋川氏。
象印マホービンは2018年5月に創業100周年を迎えた。周年プロジェクトの推進にあたっては経営企画部内に周年事業事務局を設け、2人の専任担当者を配置し記念式典などを企画。社史編纂委員会も発足している。
経営企画部チーフマネージャーで周年事業事務局長を務める樋川潤氏は、「周年プロジェクトにおいて社史の編纂と式典の開催は車の両輪のようなもの」と話す。「社史は、創業以来の先人たちの偉業や失敗も含めた過去を知り、未来に臨む唯一の足がかりとなります。一方、式典は100周年を迎えた今の喜びを分かち合い、新たな気持ちで出発する場となります。いずれも自社の未来に向かって進むために欠かせないと考えました」。
従業員が論文で未来への提言も
2018年10月に開催した取引先を対象とした式典「感謝の集い」に先立ち、同年6月にはOBを含むグループ従業員を対象にした記念式典を実施している。2部構成で行われ、第1部は次の100年をどう迎えるかを意識づけるためのプログラムで構成された。
市川典男社長や一橋大学特任教授の伊藤邦雄氏による講演では、会社の強みや個性を振り返りながら、未来に向かう従業員への期待が語られた。伊藤氏は90周年式典に続いての登壇で、10年間の軌跡を踏まえた講話となり、参加した従業員をはじめOBからも好評だった …