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匿名記者が明かす残念な広報対応

記者の自尊心を傷つけた 広報自作の新聞記事に衝撃

記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。

地方紙記者 Tさん(男性)

入社から7年以上、主に企業取材を担当。高い技術や面白い発想を持つ地方のベンチャー企業を取材するのが好き。今年生まれた第一子(長男)と遊ぶのがなによりの楽しみだが、なかなか時間が取れないのが悩み。新聞記者なのに自尊心が高くないことを唯一の誇りとしている。

ガスや電力・鉄道など生活に不可欠なインフラなどを供給している地方の独占企業、いわゆる「ガリバー企業」。ライフラインを握る巨大地方企業の一部の広報担当者は「うちの会社がなければこの地域では誰も生きていけませんよ」という強烈な自負が裏目に出るのか、ときに記者が唖然とするような対応をすることがある。

広報からの衝撃的なファクス

地方で勤務していたある日、とある大手インフラ企業の広報から、社内イベントの取材依頼の電話がかかってきた。直前の連絡だったこともあり時間の調整がつかず、その場で取材を断ったのだが、イベント開催当日の夜、その企業から会社に1枚のファクスが届いた。

内容を要約すると「本日のイベントの記事をこちらで書いておきました。紙面が空いているときで構いませんので、掲載をよろしくお願いします」とのこと。なぜか同じ内容で若干書き方を変えた記事が2パターン用意してあり、ご丁寧に末尾には(250字)などと文字数もカウントしてくれている。

おそるおそる上司にファクスを見せると、これ以上ないほどの渋い顔。しばらく内容に目を通しながら「よく読むと記事、結構うまいじゃん……」とぼそっとつぶやき、天井を見上げていた。あまりの衝撃的な内容に、その記事はしばらく会社の掲示板に張り出されることになった。当然、広報が書いたものを新聞記事としてそのまま紙面に掲載するわけにはいかず、広報からすれば徒労、われわれ記者からすれば不信感が生まれるだけの結果となった。

広報の担当者は40代くらいの男性だったので、決して新人広報の「若気の至り」が引き起こした出来事ではない。ファクスのレイアウトの妙にこなれた感じからすると、他社を含めてこれまでも同じことを何度も繰り返してきたのだろう。

記者は人に話を聞き、写真を撮り、記事を書くことだけで成り立っている職業だ …

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