記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
経済メディア記者 Tさん(男性)記者歴12年。地方紙から2年ほど前に転職。今回、あまりに残念な体験をして酒の席で愚痴をこぼしていたら、知り合いの企業広報がネタごと『広報会議』に売り込んでくれ、今回の執筆に至った。ついでに「業界別 勝手に広報番付」という企画を編集部に持ち込んだが、保留となっているらしい。 |
グローバル化する大企業が増えた今、ここへ来て目立つのが、変革を打ち出す経営戦略とはうらはらに広報対応だけが昭和のまま、思考がストップしてしまっている企業だ。その特徴は「メディアを思い通りにコントロールできると思っている」「事前調整に膨大な時間が費やされがち」ということだ。
平成も終わろうとしているのに、ましてやグローバル経営を標榜していながら忖度まみれの企業体質を隠そうともしない。先日「経団連の会長室に初めてPCが導入された」という実態に呆れた声が飛び交っていたが、そういった昔ながらの慣習が残っている日本企業は結構多いのである。そんな「昭和」な広報対応に振り回された残念な出来事について今回はお話ししたいと思う。
あまりに無邪気なPR会社は警戒
今思えば、始まりから迂闊だった。今回、私が接点を持った"残念広報"の企業(仮にA社としよう)は担当業界外で、正面から取材依頼をする必要があった。私自身、その業界には一切の人脈がなく、周囲の記者仲間や知り合いの広報を頼ってもたどり着けそうになかった。人づてに評判を聞けば、A社はあまりオープンな広報体制ではなく「取材させてくれない会社」として有名なのだという。だからこそ、ぜひ自分が開拓して記事を書いてみたいという思いにも駆られていた。そんな折、とあるPR会社からA社を取材できそうだという案内が来たのである。
日ごろ、ファーストアクションとしてPR会社の面識のないスタッフに問い合わせることは私のなかでは禁じ手としている。PR会社のなかで優秀な人を見極めて相談をしたり飲みに行ったりすることもあるが、警戒することのほうが多い …