「何か来週撮れるネタない?」「商品サンプルを貸してほしい」「梅雨対策アイテム特集に合う商品は?」─。ユニークな家電や雑貨など年間120もの新商品を発売しているサンコー(東京・外神田)。2015年から一人で広報を担当する﨏(えき)晋介さんのもとには日々、制作会社のディレクターらから問い合わせが入る。最近では「糖質カット炊飯器」「お一人様用ハンディ炊飯器」「自家製焼き鳥メーカー」といった"レアもの家電"が人気だ。
2017年には137本、テレビ番組の取材を受けた。2018年も9月末時点で135本の取材が入っており、これまでテレビ東京の番組では『WBS』『未来世紀ジパング』『ゆうがたサテライト』『Newsモーニングサテライト』『乃木坂工事中』などの取材歴がある。ちなみに他局だが、5月には『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)で丸ごと30分特集が組まれたこともあるそうだ。
社員数は30人。サンコーになぜ、これほど取材依頼が舞い込むようになったのだろうか。
「実は本社隣のマンションに、撮影専用のワンルームを借りています。普段は商品の物撮りや説明動画の撮影に使いますが、番組ロケが入ればこの部屋を自由に使えます。例えば『トレンドたまご』なら放送当日、4時間ほど撮影がありますがほとんどこの部屋で収録しているんですよ」。
食にまつわるアイテム紹介も多いため、撮影クルーにとってキッチンが使える環境は喜ばれるという。もちろん調理に必要な材料を揃えておき、例えば炊飯器なら「炊く前・炊いた後」の二種類をセットしておくなど段取りの先読みもぬかりなし。さらに本社近くに2つの店舗があるので、売り場での撮影も対応可能だ。
加えて、広報である﨏さん自身が出演して詳しい商品説明ができるため、制作側に重宝されている様子。そのぶん社内調整の時間がかからず、テレビ取材で求められるスピード対応が可能だ。過去の「トレたま」を観ても、キャスターとの掛け合いがすっかり板についている。「週2~3点の新商品が出るので2週間に1回、商品開発の状況を共有する会議で大体のポイントを把握しています。その上でリリースを自分が書いているので、開発者と同じ温度感で説明できるんです」。
そんな﨏さんに、テレビ取材の際に気を付けていることを聞いてみた。「カメラの向きや立ち位置など、自ら動いて把握するようにしています。あとは結構ギリギリのタイミングでオファーいただくことも多い上に、制作会社と番組プロデューサーの意向が合わずオンエアされなかった……なんてこともよくあります(笑)。でもそれは仕方がないこと、という割り切りが必要。内容についても間違った情報は正しますが、口を挟みすぎない。広告費を払っているわけではないので要望は"お願い"ベースに留めて、番組側の解釈を尊重するようにしています」。