新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
今月も先月に引き続き、アメリカのPRテックの最新事情についてご紹介したい。星の数ほどあるPRテック企業だが、大きく分けると、 ①コンテンツクリエーション ②メディアリレーションズ・コンテンツ配信 ③モニタリングと分析という3種類がある。今回は②と③について詳しく見てみよう。
5万5000人以上の記者が登録
日本では、メディアリレーションズといえば記者クラブを通じたリリース投函、もしくはメディアリストに基づくメール配信、対面でのピッチなどが主だった手法となっている。極めてアナログ的なイメージだが、海外ではこの分野でもテクノロジーの力で効率化が進んでいる。特にネット上で企業とジャーナリストやブロガーをマッチングさせるPRツールが人気だ。
代表格がHARO、MUCK RACK。HAROでは、ジャーナリストが書きたいストーリーや求めている情報を登録することができる。企業や個人は、自分の強み、商品、サービスなどの情報を登録しておく。するとサイトが情報を発信したい企業と受け取りたいメディア側双方のニーズをマッチングしてくれるというわけだ。80万以上の企業や個人などのニュースソース、5万5000人以上のジャーナリスト・ブロガーが登録しており、企業側にかかる料金も無料からひと月150ドル程度と非常にリーズナブルだ。
MUCK RACKでは、ジャーナリストのデータベースを利用して、企業がカスタムメードのメディアリストを作成することができる。ジャーナリスト各人が自分の紹介ページを持っており、書いた記事や、自分のソーシャルメディアでのアクティビティを一覧できるのだ。
こうしたページを見ていると、ジャーナリストはTwitterなどのソーシャルメディアを使いこなし、情報発信するのが当たり前となっていることがよく分かる。日本では、テレビ局の制作スタッフや記者がネタにふさわしい企業や商品、サービス、人などを手間暇かけて調査し、探し出す。こういったデータベース検索システムがあれば、メディア側にも企業側にもメリットがあると思うのだが……。
このほかにもAnewstipでは自分の会社名や興味のあるテーマを入力し検索すれば、その関連の記事を書いたジャーナリストや記事、ツイートの一覧をあっという間に見ることができる。そこからメディアリストを作成したり、連絡先を調べたりすることができるという優れモノだ。なんと100万人ものジャーナリストやメディアのデータが登録されているという …