新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
ソーシャル・オウンドメディア経由のコミュニケーションに重心を移す企業が大勢を占めるアメリカには、PRの効率化やイノベーションをデジタルテクノロジーでサポートする「PRテック」カンパニーが数多く存在する。今回は業界のすそ野とポテンシャルを広げるPRテックの最新事情についてご紹介したい。
メディアリレーションズが中心の日本のPRではまだまだアナログ的なノウハウが重視されている印象だが、前月号の記事でもご紹介したように、マスメディア離れが加速するアメリカ企業は、全力でデジタルシフトを進めている。その中で、ITリテラシーの高いスタートアップ企業が、続々と業界に参入し、PRのデジタル化をけん引している。
数百社はあるであろうこうした新業態の企業をグループ化してみると、大きく3つに分類できる。一つ目はコンテンツクリエーション、二つ目はコンテンツ配信、三つ目はモニタリングと分析だ。
無料のデザインツールが充実
まずコンテンツクリエーションから見てみよう。アメリカでは、もはや企業はメディアにニュースを提供する存在ではなく、情報やストーリーを編集し、発信する存在になっている。というわけで、プレスリリース以外にも様々なコンテンツを作成しており、それをサポートするサービスが実に多種多様に存在する。
洗練されてスタイリッシュなデザインのビジュアルプレゼン、インフォグラフィックス、表や図などをウェブ上であっという間に作成できてしまうデザインサービスツールが数多くあり、基本的な作業であれば、多くは無料で使える。
代表格はデザインツールのCanva。ストック写真やアイコン、デザインテンプレートも豊富にあり、自社ウェブやソーシャルメディアのコンテンツづくりに大活躍する。
ほかにもPiktochartやeaselly、infogram、Vismeなど同様のデザインサイトが多数ある。パワーポイントよりも、もっとインタラクティブに動きのあるプレゼンができるツールであるPreziなども知られている。こうしたサイトで、独創的で魅力的なテンプレートを覗いてみるだけでもインスピレーションがわき、コンテンツ作成のヒントをもらえる …