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匿名記者が明かす残念な広報対応

あたふたする広報にイライラ お手柔らかな記事は不可能!

記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。

民放キー局 報道記者 Hさん(男性)

社会部記者として警視庁や国土交通省を担当。カメラマンとしても多くの企業を取材。ライフワークは東日本大震災の被災地に通うこと。忙しさにかまけて未だ独身。趣味は婚活と読書。

企業が不祥事対応に追われる時は、広報部の実力が試される機会でもある。対応によっては事態を悪化させてしまう企業も少なくない一方で、信頼を強化させ、イメージを好転させる企業もある。両者の違いとは何なのか。民放キー局の報道記者として勤務してきた経験から、不祥事に対する広報の課題と注意点を紹介したい。

問われるのは広報部の実権の強さ

不祥事への対応で事態をより悪化させる企業広報にはある共通点がある。例えば、以下のような広報対応だ。

記者クラブなどで記者にリリースを手渡すとき、ただひたすらに頭を下げ、何度も「すみません」と繰り返す。電話取材に対して「確認します」を連発するばかりで、こちらの質問に対する明確な回答を返してこない。謝罪会見の場で、登壇する経営陣の発言にあたふたとし、その周囲を走り回る。時には進行をめぐって経営陣と記者たちが言い合いになり、会見が進まないこともある。

これらの広報対応から透けて見えるのは、その企業内における広報部の力の弱さだ。残念な広報は、情報把握や発表方針の決定において社内で実権を握れていないのである。「役員がすべての権限を握り、広報部はそこに従属しているだけ」という企業は、そのパワーバランスが広報対応の節々で露呈する。こういった企業の場合、記者は不祥事の内容そのものに加えて、広報の不甲斐なさに苛立ってしまう。お手柔らかな記事など望むべくもないだろう。

一方で、「対応が上手い」と感じさせる広報は、経営陣からの信頼が厚く、社内でしっかりと実権を握っている。会見で経営陣が話すコメントに手を入れ、進行も記者の立場を知る広報の特性を活かして的確に仕切っている。電話取材の際も、「上層部に直接答えさせます」などと、社内への強気な姿勢を示すことができるのだ。

記者のご機嫌をうかがう広報

このような「上手い」広報は、記者との信頼関係も的確に構築している。危機発生時の広報対応を円滑にするためにも、普段から記者との間に信頼関係を築いておくことは重要だろう …

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