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大学広報ゼミナール

東京五輪まであと2年! 大会への関わりを広報する

榊原康貴(東洋大学 総務部次長兼広報課 課長)

800近くある国公私立大学が受験生や資金を求めて競争する教育現場。スポーツ選手を多く輩出する東洋大学で広報を務める榊原康貴氏が、現場の課題や危機管理などの広報のポイントを解説します。

7月21日に行われた「2020東京大会に向けて、今できることは何かを考える講座」。ボランティアへの参加意欲の高い学生たちがディスカッションする様子がNHK『首都圏ネットワーク』で取り上げられた。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催まであと2年。スタジアムや競技施設の建設などハード面の整備が進む中、あわせてボランティアなどソフト面での体制づくりも進んでいるという報道が多くなってきたように感じます。各大学はこの東京大会にどのように貢献できるのか、知恵を絞っているところではないでしょうか。

そこで今回は開催2年前のタイミングでメディアに取り上げられた、東洋大学のオリ・パラ関連の広報活動を紹介します。

見えてきたボランティアの課題

前回、1964年に東京五輪を開催した際、東洋大学ではどのような取り組みを行ったのでしょうか。過去の記事を検索したところ、開催直前の1964年8月16日の読売新聞夕刊に「みんなが日本の代表選手 サービス係の学生たち」という記事が載っているのを見つけました。選手村内食堂での給仕や発券係で大学生を養成しているという内容です。

そこには東洋大学の国際観光学部の前身となる、短期大学観光学科の学生2人が大きく写真入りで紹介されていました。この観光学科は日本国内初となる、観光を専門に学べる学科として1963年に設置されました。東洋大学以外にも当時からホテル研究会のあった立教大学、女子栄養大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学などの学生たちが参加していたようです。まさに学びと実践が合わさった、大学らしい大会への貢献のひとつの形として報道されたものと思います。

さて、時を経て2018年の今年。2020年は世界各国から観戦目的の観光客を含めたくさんの人が東京に訪れます。そこで必要になるのがボランティアです。そこで東洋大学では、そうした状況を見越して大会ボランティア要員の育成に着手しています。その取り組みが、7月23日のNHK『首都圏ネットワーク』で7分11秒にわたり放送されました。外国語対応や活動における注意点、そもそもボランティアに参加する意義や目的などを醸成するためのこの取り組みが報道されたのです。

東洋大学のメインキャンパスは東京都内に所在し、競技施設も近い。アスリートも多数在籍している状況など、多くのボランティアを募る土壌がある本学の状況をテレビで伝えてもらうことは嬉しい反面、ボランティアを希望する参加者数が伸び悩んでいることも取材の過程で浮き彫りになり、私たち関係者の課題を共有するきっかけともなりました。

このように客観的に報道されることで、組織内の認識が活性化することもあるでしょう。特にあと2年という期限の中で課題を可視化する点ではまたとないチャンスともなったのです。

「ねぎ」が競技用ライフルに!?

もうひとつ事例をご紹介します。東洋大学の朝霞キャンパスの所在地である埼玉県朝霞市周辺は大会中、射撃競技の会場となります …

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