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カンヌライオンズ2018レポート

通過率は14%!カンヌライオンズ「オンライン審査」の裏側

井口 理 (電通パブリックリレーションズ 執行役員・ビジネス開発局局長)

毎年6月に開催される広告・コミュニケーションのアワード「カンヌライオンズ」。前号で電通パブリックリレーションズの井口理氏によるレポートを掲載したが、PRカテゴリーの審査員、電通・広瀬哲治氏の声を交えたアドバイスをお届けしたい。

2018年、PRカテゴリーの現地審査員を務めた電通・広瀬哲治執行役員(右)とともに(カンヌ現地にて)。

前号(9月号)にて6ページにわたり、今年のカンヌライオンズのPRカテゴリーの入賞作を中心にレポートした。今回は番外編として、エントリーの傾向と次回に向けての教訓をまとめた。PRカテゴリーの現地審査員、電通の広瀬哲治執行役員からアドバイスをいただいたので、ぜひ参考にしていただきたい。

こんなに審査方法が変わった!

2018年のカンヌライオンズのエントリー総数は3万2371件(前年4万1170件)と21.4%減となったが、ことPRカテゴリーにおいては前年の2208件と比較して2111件と4.4%の微減に留まっており、PRへの注目度は相変わらず高い。

ただし、事前のオンライン審査員が40人に膨れ上がり、現地審査員が10人という少数に絞り込まれるという大きな変化があった。

その審査ステップの変更は日本勢にとって不利に働いたかもしれない。私自身もカンヌライオンズおよびその他アワードの審査を経験しているが、特にPRカテゴリーは一発アイデアで理解できるものではない。その社会的背景をきちんと理解し、それを起点にどう戦略構築されたのかが重要であり、またそこにアイデアや施策の関係性(Relevancy)、正当性(Authenticity)が求められる。

欧米と異なるアジア系の社会背景や文化に理解を示す審査員も増えてきてはいるが、詳しい説明がなく、短期間での審査を求められるオンライン審査ではそこまで勘案できる者は少ないだろう。

ガラパゴス事例は不利?

以下、広瀬氏から聞いた要素を並べておこう。ぜひ来年のエントリーに向けたヒントにしてもらいたい。

●現地審査対象はわずか14%

現地審査対象は全エントリーの14%にすでに絞られている。厳選された作品を深く議論するという方針のようだが、ここにたどり着けなかった日本からのエントリーも多かったはず。

●オンライン審査員のカバー率

オンライン審査は1人約250件を担当するが、全エントリーが2111件とすれば、全体の1割強しか見ていないことに。そのため、優れた事例でも個々の審査員の理解不足で次に進めなかった可能性がある。

●事例紹介はストーリー形式で

現地審査に進んだエントリーのケースフィルム(事例紹介映像)は、実践したことの解説でなくストーリーとして成り立っている。課題からアイデア、成果が理解しやすい。

●グローバル視点が不可欠に

オンライン審査で理解が得られるケースフィルムづくりが求められる。初期段階で外国人の視点を入れ、事例が国籍を問わず、グローバルにきちんと伝わるかどうか、検証しておくことが重要。

電通パブリックリレーションズ 執行役員・ビジネス開発局局長
井口 理(いのくち・ただし)

カンヌライオンズ、スパイクスアジアのPR部門など、アワード審査員を歴任。カンヌライオンズ2017ではMobile Lions Grand Prix、日本で初めてGlass Lionsを受賞したほか、2018 Gunn 100受賞。Holmes Report主催のアワードでは「世界のPRプロジェクト50選」「The Innovator 25 Asia-Pacific 2016(アジア太平洋地域のイノベーター)」に選出された。

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