記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
全国紙記者 Hさん(女性)記者歴15年以上。地方勤務の後は、ずっと社会部。教育系の記事をよく書いてきた。基本、群れるのが苦手。面白い企画を思いついては仕事を増やし、後輩に苦笑いされている。若手の取材・執筆の相談にのる機会が増えたが、距離感にいつも悩む。飼い猫が日々の癒やしの8割を占める。 |
新聞記者が思う「残念な広報」って、2つの方向性があると思います。「私には必要ない情報をぐいぐい押してこられる」と「私が欲しい情報をもらえない」です。まあ、とても当たり前なのですが。これって、逆もそうですよね。広報の方々にとっての「残念な記者」は「自分が書いてほしい情報を書いてくれない」「自分は言いたくない情報をぐいぐい聞いてくる」ですよね。
「残念広報」の2つのタイプ
ライターの中でも新聞記者は、記者の「残念」と広報の「残念」がぶつかりやすい職業だと思います。広報の方々が「うちの商品を取り上げてほしい」と思っても、新聞は商品紹介・商品宣伝的な記事をほとんど書きません。一方で、私たちが知りたいことは、ときに不祥事だったりするわけで、そんなことは広報の方は積極的に言いたくないですよね。記者が「あの人は残念な広報だなあ」と思うとき、広報の方も「この記者は残念だなあ」と思っている気がします。
ただ、ここでいう「残念」って、要は「私の思い通りにならない」です。お互いの立場はもちろんありますが、「私の思い通りに相手が動いてくれない=私の利益を相手が図ってくれない」と嘆くだけというのも不毛です。どうしたら少しでもお互いにとって良い関係を築けるでしょうか、それぞれ「残念」のタイプ別に考えてみます。
普通の人が「へぇ」と思う情報を
まず、「必要ない情報をぐいぐい押してこられる」タイプ。企業の方とお話しする時に一番よく言われるのが「どうしたらうちの記事を書いてくれますか」です。決してご本人には言いませんが、本当に書いてほしかったら、報道記者にお願いをするのではなく、広告担当社員を通してお金を払っていただく方が、早いです(ネイティブアドを書くのは記者ではありませんが)。
代わりにお伝えするのは、「メディアには、それぞれ記事を書くための目的があるんです」というお話です。新聞は「報道」が目的です。雑誌は報道だったりエンタメだったり、いろいろ。テレビは番組ごとに違います。それぞれ、その目的に合わないことや目的を損なうことは嫌います …