日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

PR関連会社 活用ガイド2018

外資大手の元広報本部長が明かす 成功する「PR会社の選び方」

小西みさを AStory合同会社 代表(元アマゾンジャパン広報本部長)

編集部にも頻繁に寄せられる「どんなPR会社に相談したらいいの?」という悩み。広報経験が長いプロは、一体どのようにパートナー企業を見極めてきたのか。元アマゾンジャパン広報本部長の筆者が、成功・失敗談を交えて伝授します。

1.25年以上の経験から分かった、理想的なPR会社とは?

私は日本企業および外資系企業を含む複数の事業会社において、広報業務を25年以上経験してきました。その間、自分自身もPR会社をどのように選び、お付き合いすればPR活動の効果を最大化できるかについて常に悩んできました。これまでお付き合いしてきたPR会社は総合PR会社から小規模PR会社を含め10社以上になります。その中で成功体験、失敗体験の両方から学んだことがあります。

一言でいうと、理想的なPR会社とは、PR戦略を一緒に考えてくれる、自社のブレーンになってくれる会社です。PR会社でも独立系PRパーソンでも構いません。結局はPR会社の規模ではなく「誰が」自社をサポートしてくれるかが重要なのです。自社をサポートしてくれるPR担当者がPR戦略策定とPR活動において成功や失敗から学んだ豊富な経験があり、強力なメディアリレーションをもつ優秀な人材であれば、企業の規模やネームバリューは関係ありません。

私自身もそのような学びから、自分が依頼したいと思えるようなPR会社があればと思い、2017年1月にPR会社を立ち上げました。事業会社で培った経験とPR会社とお付き合いして得た経験をもとに、現在PR戦略家として顧客のブレーンになるべく数々の企業のPR戦略の策定、PR活動のサポートに携わっています。

それでは、自社のブレーンになるPR会社、もしくは担当者をどのように選択したらいいのか、私の失敗談も含め紹介していきます。

2.提案の前に自社の状況を明確に伝えましょう

PR会社と仕事をする経験がまだ浅かったころを振り返ると、「うまく発注できていなかったな」「あのPR会社は自社にあまり合ってなかったな」と思うことがあります。外資系企業での経験になりますが、初期の失敗は自社のゴールや課題、今後のありたい姿、PR会社への期待値などについて基本要件をうまく伝えられていなかったことに起因します。

外資系企業に勤めていた当時、米国の本社が推奨する提案依頼書(RFP)をベースに提案依頼をしてしまいました。そもそも日本のゴール、事業フェーズ、課題をサポートするという観点から正確に依頼をできていなかったため、いただいた提案内容はコストが高く見栄えのいいプロジェクトが多かったものの内容は当時の自社には合っていませんでした。

日本だけでなく、アジア諸国もまとめて担当してくれるPRエージェンシーを探したいという本国の意向があったという背景もありますが、いざ開始し大型のイベントなどコストがかかりそうなPR施策を実行しようとすると、集客できるほどの認知度もありませんでしたし、事業も発展途上でしたので、イベントを成功させるための帳尻合わせが大変でした。

今思えば、地道な事業展開をもとに、ターゲットメディアに対して1社1社丁寧なコミュニケーションをしていくべき段階だったと思います。

結果、PR会社の提案は日本の状況には合っておらず、推進していくには無理があり、社内で再度提案を練り直す結末となりました。欧米企業にとっては、日本とアジア諸国は同じアジアの国として一括りに考えられてしまうことが多々あります。一方で日本のメディアとの関係づくり、取材環境を考えると、日本に特化したPRが必要であり、日本のメディアとの関係構築に時間をかける必要があると思います。

効果的なPR活動をするためには、本社や経営層になぜPRが必要なのかを理解してもらい、PR活動の必要性を説いていかねばなりません。それは外資でも内資でも同様です。PR会社はそのように本社や経営層を説得していく上でもブレーンになってくれるはずです。

そのためには、はじめに提案いただく前に、守秘義務契約を結んででも明確な情報提供をすることに努力するべきです。

私は今PR会社側の人間として、PR会社を探す国内外企業のクライアント候補にお会いすることがしばしばありますが、「新聞の取材を増やしたい」「社長の取材機会をつくってほしい」「テレビに出たい!」など色々なご相談を受けます。そのようなご要望をいただいたときには、まず、その考えに至った自社の状況、ゴール、戦術、ターゲット、課題について説明いただけるようにお願いしています。

逆にこれらの情報がまとまっていない場合、PRとしては活動を始める段階に至っていないと判断することもあります。まずはPR以前に事業戦略の構築にリソースを割くことをやんわりとおすすめする場合もあります。

また、広報活動は信頼を築くプロセスづくりなので一定の成果が出るまでに時間がかかります。PR会社を採用したとしても近道にはなりますが、人間関係を築くことと同様に短期間で社会との信頼を築くことは容易ではありません。信頼構築のために、企業側にも工数を割いていただく必要があります。そのような準備が整っているかについても質問します。

仮にPR会社が事業ゴールに合わせ色々な取材機会を創出してくれたとしても、タイムリーに対応するリソースがないと、結果としてメディアに迷惑をかけることになり、機会損失、イメージ低下につながりかねません。自社の適切な情報を提供し、素晴らしいPRパートナーを見つける前にそのような企業の体制についても確認しておくことが大切です。

    ATTENTION!

    PR会社選び ありがちな失敗と解決策

    × 自社のゴールや課題、今後のありたい姿、PR会社への期待値などについて基本要件をうまく伝えられていない

    × 見栄えはよくともコストのかかるプロジェクトが自社に合っているとは限らない!

    × 経営層にPRの必要性を理解してもらえない

    守秘義務契約を結んででも、PR会社に明確な情報提供をする

    「新聞の取材を増やしたい」「社長の取材機会をつくってほしい」「テレビに出たい!」といった具体的な要望を出す前になぜそのような考えに至ったかを整理する

    経営層を説得する上で、ブレーンになってくれるPR会社を探す

    *PR以前に、事業戦略の構築にリソースを割くべき段階ということも……
    *仮に取材依頼が多数来たとしても、対応できる社内体制になっているかも確認 …

あと64%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

PR関連会社 活用ガイド2018の記事一覧

PR関連会社 活用ガイド2018の記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する