オンラインの情報流通構造が複雑化し、広報の手法も変化しています。全12回シリーズで、デジタルPRの基本と戦略に活かすヒントを専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)SNSシェア・理解促進に画像は必須
(2)トリガーは「事業・商品」「組織・人」
(3)画像の点数・サイズにも配慮を
前回、ご紹介したPRバリュー開発プログラム「DEVELLOP(R)」のなかでも重要な要素である「Visual(画像・動画・絵素材)」。今回(画像編)と次回(動画編)に分けて、プレスリリースの表現手法の変化について解説していきます。
現在、PR TIMESでは1件のプレスリリースにつき平均4.6点の画像を使用しているというデータがあります(2017年度実績)。さらにすべてのリリースで使われている画像を累計した点数は前年度比39%増にのぼります(2016年度:32万8395点、2017年度:45万6688点)。この数字からも、ビジュアルが構成要素として重視されるようになってきたことが分かります。
PR TIMESで一定期間内のSNSシェア数上位のリリースを見ても、その傾向の強さが見えてきます。スマートフォンですきま時間に情報を取得するユーザーが増えるなか、スクロールしながら一目で情報が伝わる画像素材は口コミ効果を生むという点でも重要となりつつあるのです。
同時に「有用な情報であると認識してもらう」「意図を伝える」「ステークホルダーの理解を促す」という目的を果たすためにも、画像は存分に活用したいところです。さらに言えば、画像だけを見ていても趣旨やストーリーが伝わると理想的です。
実際、SNSシェア数上位のリリースは必ずしも「バズる」「面白ネタ」といった趣旨の話題ばかりではありません。例えば大学や専門機関が発信している研究結果のリリースなども図解やイラストなど見せ方の工夫によって注目を集めるケースもあり、ヒートマップ分析を行い閲覧者の動線を可視化すると、イラスト部分が注視され、最後までしっかり読まれていることが分かります。
社内デザイナーと連携した例
では、どのような画像素材を用意すべきでしょうか。これまで注目された事例を分析すると、(1)事業(プロダクト)や(2)組織(人)の魅力や価値を最大化した画像だと考えられます。いずれも視覚的なインパクトやユニークさだけでなく、ステークホルダーが期待するブランドの世界観が表現されているかという点もこだわりたいポイントです。もちろん、この2つの掛け合わせも有効です …