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リスク広報最前線

危機管理は「生もの」 広報の目的は明確に設定を

浅見隆行(弁護士)

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2018年6月8日

経団連会館ビル内にある三菱マテリアル本社(東京・千代田)。

三菱マテリアルは6月8日、子会社による品質検査データの改ざんが2017年11月以降に続々と発覚した問題で、本社でもJIS規格不適合品を出荷していたことや、直島製錬所でJIS認証が取り消されたことを発表した。6月22日には竹内章元社長が引責辞任し、後任の小野直樹新社長は問題を公表しなかった判断について「適切だった」と記者会見で断言して批判を浴びた。

2017年11月以降、三菱マテリアル(東京・千代田)の子会社による品質検査データ改ざんが続々と発覚した問題で、6月8日、本社でもJIS規格不適合品を出荷していたことなどが明るみになりました。竹内章元社長は同月22日付で引責辞任、小野直樹元副社長が新社長に就任しています。

2015年に会社法が改正され、「グループ・ガバナンス」が強く求められる時代になった今、子会社・グループ会社で発生した不祥事に対して親会社はどう対応すべきでしょうか。危機管理広報の観点から、三菱マテリアルのケースを分析したいと思います。

親会社にもグループ・ガバナンスの責任

一連の問題は2017年11月23日、同社が子会社でのデータ改ざんの事実を発表したことから始まりました。同社は公式ウェブサイトに、子会社2社が発表したリリースを添付する形でリリースを掲載し、その後も進捗状況を継続して発表。翌24日には竹内元社長が記者会見を実施しました。

この広報対応は、子会社・グループ会社で不祥事が発生したときの対応としては一般的なものでした。むしろ、親会社の社長が記者会見まで実施している時点で十分な広報対応だったといえます。実際、当時の報道を見てみると、批判的であっても致命的なダメージを与えるような記事はなかったように見受けられます …

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