記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
ウェブライター Kさん(女性)アパレル企業バイヤーからフリーライターに転身し、現在はファッション、アート、教育、企業の記事広告など多分野で記事を執筆中。最新のファッションに身を包んで国内外を飛び回っていた日々から籠城する日が増え、執筆本数とともに脂肪もためていないかと不安を募らせている。 |
フリー記者の私にとって広報とのお付き合いといえば、こちらから取材の依頼をする場合と、オウンドメディアの記事や記事広告などの執筆依頼を受ける場合の2種類がある。ここでは、どちらかというとトラブルが起きやすい後者の事例として、「広報担当の『忙しい』に8カ月間振り回された挙句、記事がお蔵入りになった残念としか言いようがない経験」をご紹介しようと思う。
いきなりSNSで執筆依頼
「"忙しい"に甘えるな」。実家で頼まれた用事を果たさないまま、パソコンを開いていた私に、母は言い放った。私は何も言い返せなかった。それは数年前に私が友人に愚痴った内容そのままだったからだ。そして時を経て忙しさにかまける私に、ブーメランのように返ってきた。その愚痴の原因となったのが、とある企業の広報担当の男性からの執筆依頼だった。
近年、記者がTwitter、Facebookなどを仕事で利用することは当たり前になっている。企業に属しているかどうかは関係なく、公私の情報をうまく分けて発信し、自身をブランディングするプラットフォームにしている。その分、仕事関係のやりとりもSNS(タイムラインではなくDM)上が多くなり、個人的には毎回かしこまるメールより、はるかにやりやすい。しかし、それは一度対面した上で成立している関係性があればの話だ。
まだ駆け出しのころの話だが、直接DMで連絡をしてきた見知らぬ男性広報がいた。SNS上で共通の友人がいるだけの関係性で、いきなり、しかもSNSを介して執筆依頼がくるのは初めてのことだった。彼が在籍する企業のホームページを見ると、教育とスポーツを扱うイベント会社で、顧問には著名人の名前が載っている。私は「変な会社ではないだろう」と判断し、打ち合わせに臨んだ。が、どうやらすでに私の死亡フラグは立っていたらしい …