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大学広報ゼミナール

大学広報の現場で日々考えるコミュニケーションの可能性

榊原康貴(東洋大学 総務部次長兼広報課 課長)

800近くある国公私立大学が受験生や資金を求めて競争する教育現場。スポーツ選手を多く輩出する東洋大学で広報を務める榊原康貴氏が、現場の課題や危機管理などの広報のポイントを解説します。

2012年(創立125周年)に作成した『東洋大学ブランドブック』。創立100周年当時との比較データを多く掲載し、大学の変化を体感できるようにした。

対外的な広報活動は言うまでもなく重要ですが、それと同じくらいインターナルコミュニケーションは大学においても大きな関心ごとです。どちらかというと定性的な評価が多い内部に向けた広報活動は、成果の数値化やKPIの設定が難しい上、すぐに効果が出るものでもありません。大学報や定期刊行物だけでその機能を果たせるとは思いませんし、表現や伝え方・情報共有の仕方にも配慮が必要です。

そこで今回は、日々業務で感じているインターナルコミュニケーションの課題や可能性について考えます。

思い出の共有で一体感を醸成

学内向けの広報やブランディングは、今私が一番興味を持って取り組みたいと思っていることです。その中でも特に重視したいことのひとつに、「記憶の共有」があります。

例えば、大学に所属している一体感、同じ場に学生であった思い出など、様々な共通の記憶を中核にコミュニケーションを実施することが有効なのではないかと考えているからです。

大学内に流れる空気感のようなものは、永く記憶され、郷愁とともにいつかまた思い出されます。「同じ釡」の感覚は、授業や部活で切磋琢磨したこと、学友との語らいや先輩後輩のつながり、学園祭やスポーツ観戦などの思い出でも生じることでしょう。

分かりやすいことで言えば、校舎や周辺の景色、キャンパスの喧騒、学食の味や匂い、身近にあったスクールカラーやマークなど、思い出のよりどころは枚挙に暇がありません。こうした記憶は大学生活の一部に過ぎませんが、共有することで生じる一体感や連帯感は、大学広報に必要な要素ではないでしょうか。

しかし、ここでお示ししたことは、日々の学生生活の中で醸成される記憶です。しかもすべての人が等しく同じ記憶を持つとは限りません。ここに共通の記憶を持つことの難しさが課題として横たわっていると感じています。つまり同じ経験や体験をしても、その人が持っている経験値や価値観で、感じ方や伝わり方が違ってくるからです。

例えば、同じ大学であっても、他学部のことはあまり知らないかもしれません。ほかのキャンパスになればなおのこと。相互にキャンパスを行き来することがないのであれば、それぞれのキャンパスの雰囲気すら知ることはないでしょう。規模の大きな大学であればよく起きる現象です …

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