複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
問題の経緯
2018年3月15日
米トイザらス・インクは米国内の全店舗を閉鎖し、事業を清算することを発表。日本トイザらス(川崎市)は、米国とは別法人であるものの、影響を予想し3月16日に取引先に説明文を送付。同20日にはプレスリリースも公開した。
トイザらスのアジア合弁会社および日本は
トイザらス・インクの米国事業の清算の影響を受けず
このたびトイザらス・インクより発表された米国事業からの撤退の意向について、トイザらス・アジア・リミテッドは同措置の影響を受けないことを確認しました。トイザらス・アジア・リミテッド傘下の店舗は通常どおりの営業を継続し、引き続きお客様に最高のサービスと選りすぐりのおもちゃおよびベビー用品を提供してまいります。
トイザらス・アジア・リミテッドはファン・リテーリング(ファン・グループの非上場会社)との合弁会社です。別個の法人として運営されており、他のすべてのトイザらスの事業組織からは財務上独立しています。
(中略)
トイザらス・アジア・リミテッドの社長、アンドレ・ジェイブスは次のとおり述べています。「トイザらス・アジアは通常どおり営業をおこなっており、引き続きこれまでどおりのサービスをお客様に提供しています。当社は強固な財政基盤を有する、独自で資金調達を行っている小売事業であり、アジア地域において引き続き目覚しい成長と投資を実現しています。毎年、すべての市場において新店をオープンしており、特に中国においては現在展開する150店舗に加え、さらに30店舗を今後数ヶ月以内にオープンする予定です」。
また、ジェイブスは次のように加えています。「アジア市場をリードするおもちゃ・ベビー用品・知育商品の小売企業として、お客様のさまざまなニーズにお応えするべく注力しています。当社のチームはお客様にワクワクするようなユニークで他にはない品ぞろえを、オンラインと実際に体験できる店舗の両方で提供できるよう努めています。みなさんぜひ遊びに来てください!」
米国の玩具小売店トイザらス・インクが、2018年3月15日に事業を清算し、アメリカ国内にある735店舗を閉鎖することを発表。取引先や顧客から状況説明を求める声が挙がりました。
今回は、関連会社の事業清算に対して日本トイザらスが行った広報対応を参考に、グループ会社内で発生した事件や事故が発端となって、自社の事業の存続・継続や信用に取引先や顧客が不安を抱いた場合の危機管理広報のあり方を検証していきます …