経営者の「プレゼン力」を診断。声・表情・身振り・ファッションといった視点から毎号、分析します。
それまで無表情だった松本清雄社長は、この日初めて声をあげて笑った。囲み取材で「他社のポイントサービスと組む可能性はあるか」と質問されたときのことだ。パートナーのNTTドコモを前に、「相手に選んでいただかないと。ドコモも新たなパートナーと組むことがある。我々も同じく可能性はある」と言ってのけたのだ。松本社長個人の考えが伝わってきた瞬間だった。
プレゼンではプロンプターを機械的に読み上げ、動きは硬く笑顔もない。「できれば話したくない」という印象すら感じさせる。何を考えているのか、何を伝えたいのかが分かりにくく、もどかしさを感じた。マツモトキヨシといえば、派手なテレビCMで強烈な印象を与え、女子高生の「放課後、マツキヨする?」という言葉を社会現象にした会社だ。しかしこの日の松本社長は、その華やかなイメージからはかけ離れていた …
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