社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
「2018年は次の時代に向けた『改革』のとき。これからは家庭食の代行業に留まらず、『健康提供企業』として社会の一翼を担う企業でありたい」。そう話すのは、和食チェーン店「大戸屋」を運営する大戸屋ホールディングス 取締役 管理本部長の濵田寛明氏だ。同社は2018年で創業60周年を迎えた。60周年プロジェクトチームは2017年7月に発足し、コーポレートブランド室やマーケティング企画室など部署横断の10人で構成されている。
従業員向けムービーを公開
60周年プロジェクトでは、店舗で働くスタッフに働くことの素晴らしさや、やりがいを再認識してもらうことを目的としたインターナルブランディングを主軸としている。そこで、従業員向けのムービーと、大戸屋のルーツや創業の精神をまとめたコンセプトブックを制作した。
従業員向けのサイトで公開した約3分間のムービーでは、お客さまとスタッフの間に生まれたエピソードを紹介し、「家庭の味を届ける」ことの大切さを感じることができるようにした。
マーケティング企画部 部長の柏原芳昭氏は「大戸屋はセントラルキッチンを持たず、基本的にはすべてのメニューを各店舗で調理し、提供しています。しかし従業員にとってこれは楽なことではありません。このムービーを見ることによって『人々の心と体の健康を促進する』という企業理念に立ち返り、やりがいを感じてもらえれば」と狙いを話す。
コンセプトブックでは、大戸屋のルーツが東京・池袋で50円の定食を提供していた食堂にあることや、創業の精神にも触れている。社員だけでなくアルバイトやフランチャイズ店のスタッフにも配布し、浸透に努めた。
「店舗のスタッフには様々な勤続年数の人がいます。新しく入った人はもちろん、長く働いている人にとっては当たり前になりすぎて普段意識ができていないこともあるかもしれません。冊子とムービーの両方を見てもらい、共通の認識を持ってもらえれば」と柏原氏 …