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本田哲也のGlobal Topics

『PRWeeK』がグローバルPR会社ランキング発表 新会社設立による影響は?

本田哲也

今年もグローバルPR会社の最新世界ランキングが発表された。本コラムでの紹介も恒例化しつつあるが、今回はこれを紹介しよう。

最新の2018年版を発表したのは、世界有数の業界メディア『PRWeeK』。発行元のHaymarket Media社は、イギリス、アメリカ、香港を主要拠点に、世界的に展開。グローバルPR業界の権威とも言えるメディアだ。

ここ数年、大きな変動がなかった世界トップ10だが、今回は違う。PR業界史上最大の合併によって誕生した新会社「バーソン・コーン&ウルフ」が一気に世界3位に躍り出た。1位は独立系のエデルマン(米国)で、2017年のレベニュー(売上高総利益)は約983億円。

続く2位が、オリンピック招致の実績で有名なウェーバー・シャンドウィック(米国・インターパブリックグループ)で約886億円。3位に新会社バーソン・コーン&ウルフ(米国・WPPグループ)でバーソン・マーステラとコーン&ウルフが合算されたレベニューは760億円。これが新しいトップ3の顔ぶれだ。従業員数はトップのエデルマンでおよそ6000人規模だ。

4位以下を見てみよう。新会社の誕生で、3位の座を明け渡した格好の4位のフライシュマン・ヒラード、続く5位のケッチャムはともに米オムニコムグループ。「オムニコムPRグループ」の名のもとに連携が進んでおり、ヨーロッパやシンガポールの拠点では、オフィスも統合された。

6位以下は、外資系PR会社として日本でも知られるMSL(フランス)、ヒル アンド ノウルトン(米)、オグルヴィPR(米)などが続く。唯一のアジア勢であるブルーフォーカス(中国)は、19%という高成長率でブランズウィック(英国)を抜き、10位から9位に躍進した。

2017年は、世界の大手PR会社にとっては厳しい1年だった。これまで世界のPRをリードしてきた米系大手PR会社の2017年の平均成長率はわずか2%。ここ数年7%前後で成長してきたことを考えれば大きな落ち込みだ。

また、これまで覇権を握ってきた、大手広告PRグループのあり方も岐路に立たされている。先日世界の業界を驚かせた、WPPの総帥マーチン・ソレル氏の退任が象徴的だ。一方で、2018年以降の見通しには楽観的なPR会社幹部も多い。2017年後半から2018年にかけて業績が安定してきているのがその理由だ。今後も世界ランキングの動向に注目したい。ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/戦略PRプランナー。「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWeek誌によって選出された日本を代表するPR専門家。著作、国内外での講演実績多数。カンヌライオンズ2017PR部門審査員。最新刊に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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