【最終回】
日本全国で「自治体PR戦国時代」を迎えている現在。広報の基本と戦略に活かすヒントをこの分野の専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)ターゲットとゴールを明確にする
(2)ステークホルダーと良好な関係を築く
(3)個人の可能性とつながりも重視
この連載もスタートから1年が経ち、いよいよ最終回となりました。読者の皆さまは、この春から体制が新たになって中核を担う方もいれば、異動されてきたばかりの方もいらっしゃるかと思います。
新人の自治体広報パーソンでも「明日から実務で役立つ」ようにと銘打って原稿を書いてきましたが、今回はその総集編としてお届けいたします。
誰に向けた広報かを考える
自治体から情報発信する広報・PR活動としては、テレビや新聞、雑誌、ウェブニュースなどに働きかけて広く生活者へ伝えてもらうパブリシティ活動や広告出稿。記者発表会や芸能イベントの実施、広報誌の制作、ウェブサイトやSNSの立ち上げ・運用など、オーソドックスな手法が多々あります。
連載の中でも、上手なパブリシティ活動のやり方やセミナーの活用方法、広報物制作への向き合い方、さらにはイベント開催時における写真の撮り方にまで触れ、それぞれの手法の細かなポイントもしっかりと書いてきました。
ただ、改めて声を大にして言いたいことは、その広報業務で「誰」に「何」を伝え、どうなることを「ゴール」とするのかを考えようということです。
特に「誰」の部分が肝要です。漠然と社会全般に設定するのではなく、どの世代の、性別はどちらで、どういう暮らし・価値観を持つ生活者をメインターゲットとするのか。そこまで定めないと、目指すべきゴールを「マスメディアへの露出」という本末転倒な形に設定してしまいがちです。メディア露出はPR手法のひとつでしかなく、決してゴールではありません。広報・PRにおけるゴールは、その先の生活者とともにあることを、改めて覚えておいていただければと思います …