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メディアイベント実践ガイド2018

予算規模とプログラムから考える 「PRイベント」のはじめ方

メディア向けのイベントといっても芸能系・報道系など、内容や規模は様々。記者らとの懇親会や説明会など、必ずしも記事化が前提ではない企画もある。予算や自社の課題・目的と照らしつつ、どんな手段があるかを考えてみよう。

一般の知名度が高いタレントらを招き、テレビの情報番組やスポーツ紙などを通じて広く認知を獲得する芸能系のPRイベント。あるいは経済・ビジネス関連のメディア向けに、経営方針や事業戦略を中心に発表する報道色の強い記者発表会など、メディアイベントの形態は様々だ。ここでは「メディアイベント」を分類しつつ、予算の目安などを考えていきたい。

「記者懇親会」を開く意義

具体的なイベントの種類については図1にまとめた。大半は直後の記事化を目的としており、テレビ・新聞・雑誌・専門紙などでの報道件数や広告換算額をKPIとする場合が多い。

図1 メディアイベントの種類
※関係者取材および読者調査をもとに編集部作成

一方で、「そこまで予算が確保できない」「大型のイベントを企画しても、そもそも記者とのリレーションがなく集客に苦労した」という声も多い。実現に至ったとしても、「自社で打ち出したかったメッセージと実際の報道内容に乖離がある」「タレントばかり取り上げられ、肝心の社名や商品名が露出しなかった」といったように、事前の想定とは異なる事態も起きがちだ。

そんな状況を回避する一手段として、より小規模な形で「記者説明会」「記者懇親会」といった場を定期的に設ける企業も増えてきた。内容によっては「メディアセミナー」「ラウンドテーブル」といった名称が用いられることもある。このほか「新オフィスお披露目会」「工場見学会」「メディア様向け体験会」といったカジュアルな内容のイベント案内もよく目にする。

本誌編集部でも時折参加する機会があるが、このような会を設けている企業は概して広報活動に熱心であり、記者との関係も良好で協力的なのでとにかく印象がいい。説明会の内容も、必ずしもイベント直後の記事化が前提ではないので気軽に質問しやすく、メディアにとっても「日ごろの取材活動のためのインプットの場」という位置づけとなっている。

懇親会を主体としたイベントも有効な手段だ。日ごろ接点がない経営陣や現場の開発担当者らと気軽に話せる場があると、取材活動の幅が広がるからだ。そもそも社内に一定の影響力がある広報部門でなければ、多忙な経営陣らが一堂に会する場を企画・実現することは難しい。つまりこのようなイベントを実施していること自体が「開かれた」企業としての信頼や評価を高めることになると言ってもいい。

ちなみに小規模な会の場合、参加する記者の数がそれほど多くなかったとしても焦ってはいけない。今後の報道の質を高めるための「種まき」だと考えるくらいの余裕が欲しいところだ。長い目で見れば「以前と比べて記事内容が深いものになった」「一般紙の記者は異動も多いため、業界理解を深めてもらう場になった。問い合わせをいただく機会も増えた」といったダイレクトな反応につながれば収穫である …

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