プロモーション費用がほとんどない中で始動した道後アートプロジェクト。首都圏に絞ったPRや人と人との「つながり」を大切にすることで、広告換算額で約19億円の露出を実現し知名度の向上につながりました。
道後温泉本館改築120周年記念事業として、2013年12月24日から2014年12月31日まで、1年以上にわたるアートイベント「道後オンセナート2014」が道後温泉とその周辺エリアで開催されました。この連載では、その事業が開催に至るまでの経緯と、地元・アーティスト・行政との関わりについて述べてきました。
今回は、ブランディング業務とともに受諾した緊急雇用創出事業にまつわる常駐スタッフの働きやボランティアの課題、首都圏で取り組んだPR活動について振り返ります。
道後の「コンシェルジュ」育成
スタッフを雇い入れるにあたり、「道後の事業者や住人たちの要となり、情報収集、情報発信、案内、コーディネートのできる人材を育成することで、道後のまち全体の活性化に寄与する」というコンセプトを掲げました。スタッフはまさに「道後のまちのコンシェルジュ」。案内所におけるインフォメーション業務を中心に、地域・学校・行政・アーティストなどと連携しながら、窓口対応からガイドツアー、地域の瓦版となる『道後のぼせ新聞』の作成まで様々な業務を行いました。
アートに興味がある方や英語を活かしたい方など、様々な思いのある人たちが集まりましたが、雇用側もスタッフも初めての経験ばかり。どのような業務を担ってもらえばいいか、果たしてそれぞれの能力を活かしきれるのかなど、手探りのスタートでした。
それと同時に、アートイベントの運営に欠かせないボランティアの仕組みづくりにも注力しました。瀬戸内国際芸術祭ではボランティアサポーター「こえび隊」、新潟県十日町市・津南町で開催されている大地の芸術祭では「こへび隊」といったサポーター組織があります。
右も左も分からない中でのスタートとなるため、私たちは瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーター「こえび隊」の事務局へ話を聞きに行きました。すると、たまたまその場に総合ディレクターの北川フラムさんがおり、話を聞いてくれました …