複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
問題の経緯
2017年12月31日
日本テレビのお笑い番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』に、ダウンタウンの浜田雅功さんが黒塗りメイクで出演。SNSなどで批判が相次ぎ、米ニューヨーク・タイムズや英BBCでも「黒塗りしたコメディアンが"人種差別主義者"として炎上している」などと報じられた。
企業は視聴者に強い印象を残すために、宣伝・広告に過激なキャッチフレーズや写真・映像・音声を積極的に使用します。反面、その内容が「好ましくない」「破廉恥」などと批判されることも数知れず。その中で近年増加しているのが、企業の宣伝・広告や広報の内容が「人種差別・ジェンダー・LGBTQ(*1)の点で問題だ」などという批判・指摘です。
そこで、今回は、人種差別・ジェンダー・LGBTQが問題にされたケースと、それに対する企業の広報対応のあり方を検討します。
「人種差別」は世界的な問題
2017年12月31日に日本テレビが放送したお笑い番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』で、ダウンタウンの浜田雅功さんが顔を黒く塗ったメイクで出演し、笑いを取る場面がありました。これが「人種差別だ」として、SNSなどで議論が生まれたほか、米ニューヨーク・タイムズや英BBCでも報じられ、世界からも批判が殺到したのです。
日本テレビはこれらの批判を受けた正式なコメントは出していませんが、あるメディアの取材に対し「差別する意図は一切ありませんでした」と答えています。説明によると、浜田さんは映画内で黒人俳優が演じていたキャラクターのモノマネをしていたということでした。
しかし、このコメントは世界中から「人種差別」と批判された要因や背景を理解しないまま出されたものではないでしょうか。少なくとも、危機管理広報の観点から見ると不十分な対応だったと言えるでしょう …