社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。


2017年10月に開催された130周年記念式典の特別演奏会。
国内有数の芸術大学として数々の芸術家を輩出してきた東京藝術大学は、2017年10月に創立130周年を迎えた。130周年記念事業組織は広報・渉外担当の松下功副学長をトップに、各学部長など10人の教員と渉外事業企画室の事務職員で構成。また、あわせて広報機能の強化を目的としたUI(University Identity)プロジェクトチームが発足し、クリエイティブディレクターに同校准教授で風とロックの箭内道彦氏が担当した。
近年は国際交流や、芸術と科学の融合を目指す「AMS(アーツ・ミート・サイエンス)プロジェクト」など様々な活動に積極的に取り組んでいる同校。130周年記念事業を行うにあたっては2017年6月に記者発表会を開催し、学生や保護者といった大学関係者だけでなく、社会や海外に対して芸術の魅力や素晴らしさを発信することを意識している。
民間企業16社が協賛
今回の記念事業では、同校としては初めて民間企業から「オフィシャルパートナー」を募った。2016年10月ごろから募集を開始し、野村ホールディングスやぐるなび、東京トヨペット、パナソニックなど16社が参画した。これほど多くの企業が参画した理由について、渉外事業企画室長の神永彰氏はこう語る。
「130周年記念で開催される展覧会・演奏会・上映会の魅力はもちろん、これまでの偉大な卒業生の活躍や、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて今後の文化芸術活動に対しての期待があります。また、最近では『多様な感性を持つ学生を採用したい』という考えから、芸術大学卒の人材に興味を持つ一般企業が増えてきました。これまで以上に芸術分野に造詣のある学生への期待が高まっていると感じています」。
今後はこのオフィシャルパートナー企業と連携して新たな取り組みも行っていく見通しだ。


同校出身者や関わりの深い人をアンバサダーに任命
6月に行われた記者発表。
(左から)岡本美津子副学長、アンバサダーでヴァイオリニストの諏訪内晶子氏、澤和樹学長、アンバサダーで日本画家の松井冬子氏、松下功副学長。
「オール東京藝大」で世界へ
「社会や海外に向けて東京藝大の魅力を発信するためには、まず大学全体が一体となる『オール東京藝大』の精神が必要」と神永氏 …