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本田哲也のGlobal Topics

これから必要なPRスキルとは? 世界のPRパーソンのキャリア形成事情

本田哲也

今月号の広報会議の巻頭特集は「広報パーソンのキャリアと働き方」。私たち現役のPRパーソンからすれば嬉しいことに、職業としての広報PRの人気はこの10年ほど右肩上がりで、新卒者や転職希望者の数は年々増えている。

とはいえ日本はまだまだPRの専門家は少ない状況。広報PRのキャリアをどう開発していくかには試行錯誤も多い。きっと読者の皆さんも、「企業の広報担当では視野が狭くなりがち。PR会社のほうが専門性は高まるかな」とか、「ひとつの商材をじっくりPRする仕事に向いてるかも。次はやっぱり事業会社の広報かな」など、ご自身のキャリア形成について思い悩んだことがあるのでは?今回はそんなPRキャリアの世界事情についてお届けしよう。


アメリカ

PRパーソンは約26万人

PRの本場といえば、言わずもがな米国。100年の歴史を持つ米国のPR従事者人口は、およそ26万人。大手企業が積極的にPRに投資し、グローバルPR会社が集まる米国は間違いなく世界一のPR市場だが、それを支えるのが専門的な教育だ。

日本が「もはや戦後ではない」と宣言し、高度経済成長が始まる1956年時点で、米国ではすでに92の主要教育機関でPR講座が持たれ、14の大学で専攻科目が設置されていた。こうした高度な教育を受けた大量のPR専門家が輩出されており、ボストン大学などがよく知られている。

また米国では、ジャーナリストたちがPR会社を起業した歴史があるように、記者や編集者などいわゆる「マスコミ業界人」とPR業界の親和性が高い。日本ではいまだに「PRパーソン=売り込む人」「マスコミ人=売り込まれる人」のような図式が強いが、米国では立場が目まぐるしく変わる。履歴書にPR会社と新聞社と企業の名前が複数あるなんてザラである。


イギリス

多様なキャリアアップの道

米国に次いでPRが盛んな欧州はどうだろうか。例えば英国には、およそ8万3000人のPR従事者が存在する(2016年PRCA調べ)。コミュニケーションの学位はもとより、歴史、アート、文学から政治まで教育的背景は様々だが、共通しているのはライティングスキルとコミュニケーション力、課題解決能力とリサーチ能力。日本にも当てはまるスキルセットだ。

大卒が主流だが、最近はアプレンティス制度(英国やオーストラリアに多い、いわゆる見習い制度)を活用して高校卒業後からキャリアを踏み出す若者も多いという。

ステップアップで大学院に入り直すようなPRパーソンも少なくない。「大学院でマーケティングを学び直している。将来的には美容系企業のブランドマネジャーを目指しているの」。英国のPR会社でアカウントマネジャーをしながら大学院に通うPRウーマンは言う。

「イギリスではPRエージェンシーの仕事がやっぱり人気かな。“クール”だから。私もそうだったけれど、楽しかったプレス対応やイベントが年齢的に辛くなってきて(笑)、次はインハウスを考えてます」。

これからのPRスキルはどうあるべきなのか。世界共通で言えることが2つある。ひとつは「統合力」。前回、PR効果測定も「PESO:Paid(広告)・Earned(パブリシティ)・Shared(SNSなど)・Owned(自社メディア)」で捉える時代になっていることを書いた。常に「PESO」でプランニングできる能力と経験値が求められる。

そしてもうひとつが「読解力」。文章が読めるということではなく、データから社会や人々の深いインサイトを読み解く力だ。スキルアップに励みましょう。ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/戦略PRプランナー。「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWeek誌によって選出された日本を代表するPR専門家。著作、国内外での講演実績多数。カンヌライオンズ2017PR部門審査員。最新刊に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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