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ベンチャー企業 広報の成功法則

危機を乗り越えられる会社とは?「投資したくなるベンチャーの条件」

渡邉庄太(レオス・キャピタルワークス 運用部長 シニア・アナリスト/ファンドマネージャー)

日本株ファンド全体で純資産総額の伸び率1位を誇る「ひふみ投信」。運用部長の渡邉庄太氏が評価する、企業の理想的な広報とは。

    運用のプロが「投資したくなる」4つのポイント

    1 ビジョン、ミッションがある

    コーポレートサイトの社長メッセージは主語を「私は」「私たちは」といった一人称に。写真やフルネームの署名があると信頼感が増す。

    2 経営者、従業員にオーナーシップがある

    社員の働きぶりに熱意を感じられるかが判断基準に。幹部がビジョンを理解し、社長と一心同体になっている組織は強い。

    3 社員が成長を感じられるインセンティブがある

    「離職率」はひとつの指標。特にマネジャークラス以上の社員の動静については、経営戦略とも関係するため注視されている。

    4 収益力がある

    ベンチャー企業は赤字のケースも当然あるが、黒字化するための経営戦略など「見通し」を示すことが大切。

社員一丸となる体力があるか

──「ひふみ投信」では、徹底した取材に基づいた「無名会社」の発掘と投資をしています。特に、ベンチャー企業への出資を考える際に「ここを見ている!」というポイントはありますか。

我々は「部屋に閉じこもって運用しても何も見えてこない。現場に答えがある!」という社長の藤野英人の考えのもと、日本全国の企業に足を運んで多くの経営者に会い、成長企業を見抜いてきました。

社員が共通して持っている判断のためのポイントは4つあります。(1)ビジョン、ミッションはあるか (2)経営者、従業員ともにオーナーシップがあるか (3)社員が成長を感じられるインセンティブがあるか (4)収益力はあるか、です。これらが満たされている企業ほど長く付き合うことができ、投資リターンも大きかったという実感があります。

(1)ビジョン、ミッションの有無については、企業のウェブサイトや会社案内などで必ず確認します。その際、社長のメッセージがあれば、「本当に社長自らの言葉で語られているか」はチェックします。例えば、主語が「当社は」「わが社は」ではなく、「私は」「私たちは」といった一人称で表現されていると「人生をかけてビジネスをやっている」という本気が伝わってきますよね。写真やフルネームの署名があるとなおさら信頼感が増します。

──ビジョンやミッションは、社員にも浸透させることで(2)オーナーショップの醸成にもつながりますね。

ベンチャー企業は、大企業に比べれば給料、待遇などが劣るのは仕方ないことです。そんな中、社員一人ひとりに活躍してもらうためには、ビジョンやミッションの共有が不可欠です。皆が同じ目標に向かって働いている会社は、万が一危機的状況に追い込まれた場合にも、社員が離散することなく一丸となって乗り越えられる体力があります。投資家は、そのような状況も想定して判断しているのです。

とはいえ我々はアウトサイダーなので、実際に社員にヒアリングするわけにはいきません。そのため、例えば小売店の場合なら店舗での接客対応を観察するようにしています。マニュアル以上に工夫のある店舗づくりがされているか、店員の接客に熱意を感じられるかなどがポイントです。BtoB企業の場合などは、オフィスに訪問した際に、社員が自分の仕事にいかに熱中しているかをチェックしています。気持ちのいい挨拶も大切ですが、エンジニアなどは、与えられた仕事に集中していてもいいと思います …

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