次々と新サービスを発表する一方で、社会的な責任を問われる局面もあった2017年。数々の荒波を乗り越えてきたメルカリ PRグループの365日に密着した。
2017年12月にフリマアプリの世界累計1億ダウンロードを突破したメルカリ。非上場だが、1000億円規模の企業価値があるとも言われる日本随一の「ユニコーン企業」だ。
初の「危機対応」に直面
「社会からの見られ方がどんどん変化し、まさに『怒涛の日々』でした」とPRグループの中澤理香氏が語るように、メルカリにとって2017年は変化の年だった。2017年初頭、若者を中心にサービスの認知度が高まりNHK『おはよう日本』で特集されるなどマスメディアでも「注目の企業」として取り上げられることが増えた。しかし、社会からの関心の高まりは、同時にリスクの増大にもつながっていた。
「初めての危機対応でした」と中澤氏が振り返るのは2017年4月中旬。現金や入金済みの「Suica」などが相次ぎ出品されたことで、SNSに批判的なコメントが多数投稿された。社会部の記者からの厳しい質問に、メディアの印象がガラリと変わった瞬間だった。
メルカリは、すぐに現金の出品を禁止し24時間体制で監視と削除を行った。PRグループでもすぐに対策を練り4月27日にプレスリリース「安心・安全への取組みについて」を発表し、対策とカスタマーサポート体制について詳細に説明した。
中澤氏は「鳴りやまない電話に、わずか3人で必死に対応している状態でした」。それでも「コメントできません」と逃げるのではなく、「包み隠さずに正直に説明すること」を大切にしたという。テレビクルーを仙台市にあるカスタマーサポートセンターに連れて行き、出品物の監視・削除作業の様子を取材してもらうなど、できる限りのメディア対応に手を尽くした。
強まる世間からの逆風
6月にはメルカリのアカウントを不正に取得し販売していた4人が逮捕された事件や、ウェブ版のメルカリにおける個人情報流出などの事案も発生。その後も盗品や規約違反の出品が相次ぎ、都度対応を迫られてきた。中澤氏は「規模が拡大するにつれて、次々に想定外の使い方が出てきてメディアも注目するため、その都度対応を迫られる、という状況でした」と語る …