毎年恒例となった、企業の広報関連部門の体制や方針、課題などを探る編集部調査結果を2号連続で一挙公開。134社の回答のもと、活動の見直しや戦略構築に役立つデータ満載でお届けします。
2017年に度々議論がなされた、広報効果測定における「広告換算値」の取り扱い方に関する問題。本誌でも11月号で特集を組んだところ、多数の反響があった。調査結果を見ると、自社独自のKPI設定を模索する動きが見えつつある。
1. 「売上への貢献」求められるケースも
Q 効果測定に関する課題は?
◆メディアが多様化しており換算結果の平均値がとりにくい。定性的な効果測定しかできず、業務のハードさに比べて良い評価を勝ち取りにくい(小売)
◆広告換算に手間がかかる(自動車・機械)
◆行動KPIでの測定しかできていないので、他の部署に理解されないことが多い(IT・情報通信)
◆広告換算値が眉唾モノだということが分かってきたので、それに代わる新たな手法がないか思案中(不動産)
◆今後は露出量だけでなく質(内容)の評価もしていきたいと考えているが、どのような手法がよいか情報収集している最中(食品)
◆個人の行動変容にどうつながったかを明確に示すことができないのが悩み(教育機関)
◆以前プレスリリース本数の増加をKPIとしていたが、配信本数を増やすことが目的になってしまい情報の質が低下してしまったケースも(IT・情報通信)
◆会社として重要と考える媒体での掲載件数をKPIにしているが、それが実ビジネスにどういう効果を与えたのか、といったところを今後は捕捉できるようにしていく予定(IT・情報通信)
◆IRと異なり、企業広報の活動を評価する外部機関が少ない(IT・情報通信)
◆広報はすぐに売上の増加につながる活動ではないと思うが、どのように業績に貢献できる可能性があるかは考え続けなければいけない(電機・精密機器)
◆SNSまわりの指標は一人では追いきれない部分があり、それを代用するサービスがあれば活用したい(その他)
2. 新たな「定量的評価」を模索
Q この1年で、広報効果測定のやり方は変わりましたか?
◆営業・マーケティング部門との連携を密に。プレスリリースから営業サイトへ遷移しやすくするなどの工夫をした(IT・情報通信)
◆クリッピングサービスを著作権に配慮した方式に変更した(その他)
◆メディア露出をきっかけとした問い合わせ、無料セミナー申し込み、サービス受注の件数もKGIとして取り込んだ。認知度調査も実施し、継続的に変化を追っている(IT・情報通信)
◆インターネットによるブランド認知度調査を初めて実施した。今後は定点観測のため毎年度実施していきたい(不動産)
◆露出状況を自社でスコア化し、半期ごとにスコアを見るという方法を取り入れた(建設・建築)
◆プレスリリース件数や記事化件数、各種サイトのPV・UUなどをKPIとして追い、人事評価にも紐づけている(広告・メディア・報道機関)
◆広告換算額のほか、メディア露出に至るまでの過程も含めた活動全体を的確に測る方法を引き続き模索中(IT・情報通信)
◆インサイトの分析を行うようになった(IT・情報通信)
◆より最終的なコンバージョンへの貢献を求められるようになっている(IT・情報通信)
◆定型調査や独自調査による、定点観測を実施。その結果を活用したKPIの設定とPDCAの実行(レジャー・エンタメ)
3. 定期報告で検証、広報の役割を明確化
Q 効果測定の結果は社内でどのように活用していますか?
◆広告換算費の分を部門の成果として社内仮想通貨に計上(自動車・機械)
◆営業対策系の役員・部門長会議で共有(小売) …