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企業ブランドを強くする「言葉の力」

理念を語る場が増えた今 企業姿勢に通ずる言葉は強い

三井明子(アサツー ディ・ケイ)

企業の経営理念に基づく広報活動には、「伝える」力が求められます。コピーライターが語る、企業ブランドを強くする言葉の役割とは。

宝島社「あたらしい服を、さがそう。」

「誠実な会社」は愛される

──お仕事を通して、企業経営における言葉の役割が重視されるようになったと感じることはありますか。

言葉を掲げることによって目標が可視化され、経営者の考えを社員は理解しやすくなります。すると社内の士気は高まり、全社員が一丸となってその目標に向かうことができる。逆にその言葉がなければ、全社員が心をひとつにするのは難しいのかもしれません。

ここ数年で世の中もがらりと変わりました。人々がネット上で自分のメディアを持ち、意見を自由に発信できるようになり、言葉によって良くも悪くも世論が操作されてしまうことも多々あります。そんな時代背景も、企業が言葉の役割を重視するようになった一因ではないかと思います。

対外的には、その会社に興味を持った人へのファーストコンタクトとして言葉があると思います。かつては企業理念などは会社案内を取り寄せないと知ることはできず、商品やサービスだけで会社のイメージが形成されるというのが自然の流れでした。でも今は、企業サイトを訪れればその会社の目指すビジョンや理念を誰でも知ることができます。TwitterやFacebookなども活用して、広報活動はしやすくなったのかもしれません。

ただ、その反面、理念やビジョンの語りかたによって印象が変わってしまうので、言葉の選びかたにも、年々慎重になっていると感じます。

さらに企業の理念と社員の行動、あるいは商品・サービスに乖離があると「理念はすごいことを言っているけど、商品やサービスは……?」といった評価になりかねません。背伸びをしたり風呂敷を広げたりするのではなく「この会社は信じられる」「誠実な会社」と思ってもらうことが重要になってきているのではないでしょうか。

社員が何か新しいことに挑戦するとき、あるいは課題を解決しなければならないときにも、会社の志を表す言葉があると良いと思います。新しいことをはじめるときの指針になりますし、何よりも、働くモチベーションにもつながります。迷ったときなども、その言葉を軸に軌道修正ができますよね …

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