社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。


2017年から始動したCSR活動や毎年10月に開催されている社員運動会を通じて、社員自ら予防医学の大切さを実感する場に。*社員運動会は2017年は雨のため中止
薬用シャンプー「スカルプD」などで知られるアンファーは、2017年に設立30周年を迎えた。創業以来、予防医学の大切さを伝え続けてきたが、より分かりやすく表現するため「予防医学でミライを変えよう。」という新たな企業メッセージを社内外に広く打ち出している。
社員全員からアイデアを募集
中でも重視したのが、周年プロジェクトを通じた社内コミュニケーションの活性化だ。プロジェクトチームのメンバーは立候補制とし、部署や年次を超えた構成となっている。また、周年事業のアイデアを社員全員が1点ずつ企画提案し、プロジェクトメンバー以外の社員も参画する形とした。実際に社員発で2つの案が採用され、実施されている。
そのひとつが10月11日からスタートしたCSR活動「SAVE SOAPプロジェクト」。カンボジアの衛生環境を改善し、肺炎・下痢・マラリアなどの感染症を洗浄行為によって予防する石けんを開発した。アンファーの公式通販サイト「アンファーストア」とショッピングサイトでこの石けんを購入すると、カンボジアにもひとつ届けられる仕組みとした。現地に届く石けんはクマのシールが入った仕様となっており、子どもでも楽しく使えるよう工夫されている。
事業戦略本部 広報課長の坂村愛実氏は、「CSR活動を通じて自社が社会に貢献していることを社員が実感することで、働くモチベーションが上がる。同時に『予防医学のアンファー』というイメージを世界に発信するきっかけになれば」と説明する。
もうひとつが社員参加型の「社内投資企画」だ。社員がそれぞれ30万円前後の架空の投資金を持ち、全社員が一斉に集まる場で発表された新規プロジェクトのアイデアに対し投資するという取り組みだ。希望投資金額を集めたプロジェクトは実際にその金額が会社から支給され、事業をスタートすることができる …