インターナルコミュニケーションを活性化させ、事業の成長を後押しする役割を担う社内報。今回はキヤノンの社内報制作の裏側に迫ります。
キヤノン『CanonLife』

世界で約19万8000人が働くキヤノングループはアジア、米国、欧州それぞれの市場で各社が独自に事業を展開している。社内報『CanonLife』もキヤノン本体で働く国内の約2万6000人を対象に発行してきた。グループ共通の社内広報ツールとしてはポータルサイト「G.CIP」があり、活字と映像でグループ内のニュースを各社に発信している。
『CanonLife』の特徴は「社内報も一般の情報誌と同等のクオリティでなければ読まれない」という考えのもとに編集している点だ。「書店で売られる雑誌のように驚きや感動、共感を呼ぶコンテンツが必要」とグループ社内報室長で編集長の中江達之氏は説明する。就任以来、読者の記憶に残るような「驚き」「感動」「共感」につながる誌面づくりにこだわってきた。
最近では、2017年9月号から世の中で広く使われているキヤノンの特許技術を紹介する連載「常識を創ったキヤノン」をスタートさせた。第1回ではスマートフォンやタブレット端末で使用されているフリック文字入力を取り上げている。「掲載後のアンケートで自社の特許技術だと知らない社員から多数の反響があった」と中江氏は説明する。
2016月12年に医療機器を開発・製造・販売する「東芝メディカルシステムズ」がグループ入りした際には、「正しい情報を適切なタイミングで発信すること」を念頭に、翌年3月号で取り上げた。数々の世界初の実績を持つ同社の事業とともに身近な健康・医療関連の情報からヘルスケア産業を紹介し、なじみの薄い業界への「共感」を構築した。
編集部では、こうした驚きや感動、共感が自社で働く誇り、仕事への気付きやモチベーション向上などにつながると考えている。
市場を取り巻く動向を踏まえ経営の方向性を明確に伝えることも社内報の重要な役割のひとつだ。4月号ではカメラ事業がスマートフォン時代にどう対応していくのかを特集する企画を設け、カメラ事業に携わらない社員にも理解しやすいよう具体的に紹介した。
読者アンケートの結果を企画の見直しに活かすなど、PDCAも徹底している ...